第512回
「厄年の原因は環境に対する適応力の喪失です」
「厄年」は、男性の場合、
25歳、42歳、60歳だとされています。
これに対し、邱さんは、
それは人生が50年であった頃の考えであって、
人間の寿命が伸び、
人生が80年になっている現代においては、
30歳、40歳、そして55歳が「新厄」だ
という考えを提示しています。
『貧しからず 富に溺れず』のなかで、
邱さんがこの説を総括しつつ、
「厄年は環境に対して適応力を失うところからきている」
と診断している記述がありますので、
引用させていただきましょう。
「人生50年と思われた時代には、
痛みを感じながら死んだから、
生命力はあるのに、
どこかのパーツに故障が起こって、
それが致命傷になった。
だから『死にたくない』『死ぬに死ねない』と
叫びながら死んで行ったのである。
それが更に25年も延長されると、
パーツの一部だけが駄目になるのではなくて、
俗に『老衰』といわれるように、
機械全体に平均して寿命がきてしまう。
30歳、40歳そして55歳が
男の新厄であるという理由を述べてきた。
もちろん、花に早咲き、遅咲きがあるように、
早く厄にさしかかる人もおれば、
2年も3年もまってからおかしくなる人もある。
どちらにしてもそういう変化が見られるが、
それは肉体的な障害ではないから、
医者に診せても病人の仲間には入れてもらえない。
せいぜい『軽いノイローゼですね。ほっておいても癒りますよ』
と言われるのが関の山であろう。
しかし、精神的な障害も、
病気の一種であることに代わりはないし、
こうじれば、生命に危険をもたらすこともある。
また交通事故や犯罪のきっかけになることもある。
その原因を辿って行くと、
環境に対して適応力を失うことからきているから、
障害になっていることを取り除くことができれば、
全くの免疫にならなくとも、
軽症であることは充分、予想されることである」
(『貧しからず 富に溺れず』)
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