第471回
「株の儲けの80%はガマン料です」
平成元年に発行された
『お金があって気がきいて』には
前にもふれたように、ブラック・マンデーの日に、
邱さんが新日鐵株と富士通株を
買ったことではじまる連載が載せられていますが、
その連載のなかで、邱さんは
「私がいつも言うことだが、
株式投資に使うエネルギーのうちで
『どの銘柄を買えばよいか』に使うエネルギーは
全体の20%に過ぎない。
残りの80%は売りたくなる気持ちを抑え、
じっとガマンするために使う」と書いています。
そういえば、
株のことについて書かれた邱さんの文章のなかで、
しばしばこの表現に出会います。
たとえば、昭和63年に発行された『株が本命』で
邱さんは次のように表現しています。
「兵法だって、工夫(カンフー)だって、
リクツを述べるだけなら、そんなに難しいことではない。
『机上の空論』のことを中国語では『紙上兵談』と言うが、
リクツはこうだと言って
口角泡をとばすだけならいとも簡単である。
しかし、いざ実行に移してみると、
次々と思わぬことが起こってきて、
確信を持っていたことも次第にあやしくなって、
疑心暗鬼にさいなまれてしまう。
何事もそうだが、一つのことをなしとげるうえで
知ることに費やすエネルギーが20%だとすれば、
それを実現ために消耗するエネルギーは
80%といってよいだろう。
どの株を買えばよいかという情報の把握に
20%のエネルギーが入用だとすれば、
それから儲けが実現するまでに要する
辛抱のためのエネルギーは80%を占める
これは実際にやった人でないとわからないが、
実際にやってみたらすぐにもわかることである。
近頃、香港から輸入される
工夫(カンフー)映画を見ていると、
少林寺というのがよく出てくる。
少林寺に入るだけならカッコよく見えるが、
拳法の免許皆伝を得てでてくるまでが大へんである。
株の道も大体それと同じだと思えばまず間違いない。」
(『株が本命』昭和63年)
「株の儲けの80%はガマン料だ」というのが、
邱さんの株式投資セオリーの奥義のようですね。
|