第450回
「株について教わるなら自分が尊敬できる人」
邱さんが始めて株を買われたのは、
昭和35年のことですが、
『株の原則』でそのころの体験にふれています。
「私が株をはじめたころ、NHKに頼まれて
『マイク片手に』という番組の取材のため
兜町に行ったことがあります。
場立ちの人にマイクを出して
『あなた、儲かったことありますか』と聞いたら、
『ええ儲かったことはあります』というんで、
『なんで儲かったの』ってまた聞いたら、
『土地で儲かりました』というんです。
それ以来、私は、株をやるには、自分で努力して、
自分で考えるのがいちばん正しいと思うようになりました。
かりにだれかに教わるにしても、
自分が尊敬している人に教わるべきであって
セールスマンに教わるべきではないと思うようになりました。」
そして、ご自身が
セールスマンに対してとってきた態度について
次のように述べておられます。
「たいていのセールスマンは、
相手がシロウトだと思うと、ツケこんできます。
『この株がいいですよ』と買わせて、
下がると『売って、こっちに乗りかえなさい』―
それにいちいち耳を傾けたりしたら、
うるさいほど、電話がかかってしまう。
ズルズル引きこまれると、手数料だけ稼がれて、
気がついたら、すでに半分くらい損をしている。
ですから証券会社のすすめに対しては、
はっきり、『イエス』『ノー』といって
こちらの意思を伝えることです。
そうしないと、損をしたときに、
セールスマンを恨みたくなる。
自分の意思でやるんなら、あきらめもつくんです。
ほんとは、ズルズル引き込まれた自分が悪いのに、
人のせいにするようでは、株にかぎらず、
なにをやっても、うまくいきません。
くり返しますけど、セールスマンは、
株を買うときの相談役でも、コンサルタントでもない、
ということをしっかり頭に叩き込んでおいてください。」
(『株の原則』)
株の話をすると、しばしば、
「証券会社のセールスマンの口車に乗せられて損をさせられた」
といったたぐいの話をよくききますが、
邱さんによれば、セールスマンが株のことを知っている
と考えるところが間違いで、またそういう人に、
銘柄の選択を任せた自分がいけないということに
気づくべきだということになるんですね。
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