第448回
「無理なお金で株を買ってはいけません」
株を買いたいと思う人の心の底には
株を買って、元手をふやしたい
という欲望が潜んでいます。
ですから、別に使うあてのあるお金であっても、
ほんのしばらくのことだからと、
自分にいいきかせ、
そのお金で株を買ってみたい気持ちに駆られます。
そういう人に向かって邱さんは、
「無理なお金で株を買ってはいけません」
とおっしゃいます。
「いちばん気をつけなければいけないのは、
“ムリなお金”で株を買わないことです。
たとえば、家を買った。
三カ月後に払う残金は、ちゃんと用意してある。
でも、株価がすごく動いているようだから、
三カ月のあいだに、二割か三割、儲けてやろう、
と欲を出して買う。
すると、儲けるどころか、二割か三割、下がって、
家に払うお金がなくなっちゃうことになる。
どうしてもお金が要るから、
株を売らなきゃいけない、
ということになると、損をすることが多いんです。
だから、そういう“ムリなお金”で
株を買ってはいけません。
株は売ったり買ったりするけれど
財産として保有するものでもあるわけです。
その中身が、時代の変遷とともに、
ふくれたり、へこんだりする。
それをどういう具合にアレンジしていくか、が大切なのです。」
(『株の原則』)
私が『株の原則』のもとになった
『邱永漢の株入門』を読んだのは
39歳のときのことです。
しかし、実際に株を買ったのは43歳の頃のことでした。
この本を読んでから株を買うまでに、
4年もの歳月を要した原因は、
自由になるお金がなかったということですが、
このアドバイスが頭にあったことも関係しています。
|