第443回
「財産といえるのは不動産と株と現金の三つです」
面白いもので、お金を貯め、
それが一定額に達すると、
もっと増やす方法はないかといったことを
考えるようになります。
がぜん、利殖の方面の関心が高まり、
株とか債券とか、あるいは不動産とか、
さてまた貴金属とか、絵画、骨董など、
いろんなものへの関心が湧いてきます。
私が邱さんの本を読みはじめたころは、
インフレの時代でしたので
現金にそれほどの値打ちがなくて、
邱さんは、財産といえるのは
不動産と株の二つだとおっしゃっていました。
いまはデフレの時代で、
現金に値打ちがでてきましたので、
平成9年に出版した『ダメな時代のお金の助け方』
(文藝春秋社)で財産として
不動産と株と現金の三つをあげています。
「私に言わせると、
人間が資産として持つことのできるものは
色々あるように思えるけれども、大きく分けると、
不動産と株と現金の三つだけである。
デフレの進行によって、この三つのうちで
一番安定度の高い不動産と、
一番経済の動向を反映する株が低迷を続けて、
購買力を反映する紙幣の方が
逆に値打ちが出てきてしまった。
この傾向は、物の値段が安いぎりぎりのところまで
追い詰められ続けると考えなければならないが、
そういう傾向が続いている時でも、
不動産や株の値打ちが
全くなくなってしまうわけではない。
今回の大不況では
不良債権化した土地投資の整理に時間がかかるので、
土地の反騰は当分見込めないし、
場合によっては更に一段安がないとは言えないが、
少なくとも金繰りに追われていない人が
不動産を現金化する時期でないことは確かである。
もちろん借金で首のまわらなくなった人は、
そんな悠長なことは言っておられない。
また借金を重荷に感ずる人は
目ぼしい資産を処分してでも、
肩の荷を軽くしておく必要がある。
しかし、金繰りにあまり問題のない人は、
金利も安くなったことだし、
そのまま借りっばなしにしておけばよいし、
現金のまま銀行に預金をしている人は、
この際、わずかな金利をもらうより、
ローンを一挙に返済してしまった方がいい」
(『ダメな時代のお金の助け方』)
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