第440回
「貯蓄とははっきりした意志にもとづいて、残す金のことです」
自分の人生をささえてくれる財産をつくる第一歩は
なんといってもお金を貯めることでしょう。
私が邱さんの本を読むようになった直後、
『インフレに相乗りする法』という本が出版されました。
アチコチに掲載した文章がまとめられた本でしたが、
このなかで貯蓄についての記述がありました。
「貯蓄のことを英語ではsavingという。
savingとは節約のことである。
つまり、貯金とは毎月の収入の中から
余ったお金を残しておくことではなくて、
毎月の生活費の中から節約をして強制的に、
もしくは、はっきりした意志にもとづいて、
残す金のことなのである。
したがって、貯金は消費に優先すべきものであって、
計画的に先取りしておかなけれぱ、
なかなか貯まってはくれないものである。」
お金をためるという単純な行為も
邱さんの筆にかかると、
こういう具合に表現されるのかと
感心したものですが、邱さんは同じ内容のことを
『お金の原則』で次のように書いています。
「お金なんていくらあっても足りないもので、
"余る"お金などないんです。
ですから、そのうち収入がふえれば
貯金もできるようになるだろうと考えていると、
一生、お金は貯まらないで終ってしまいます。
どの時期、どの年齢にあっても、お金を貯めるには、
余ったお金を残すというのじゃなくて、
お金のほうを優先的にとってはじめて貯まるんです。
貯める分を先にとるとなると、
やはり、ほしいと思うものをできるだけ買わない。
真っ先に支払うべきお金だと思って、
貯めるほうに回すようにしないとダメなんですね。」
(『お金の原則』)
ちなみに邱さんが金銭のことをはじめて記述した作品は
『金銭読本』ですが、この作品で邱さんは
貯金はある人にとっては快楽であると書いています。
「金を貯めるということは、
金を使うことによる快楽を抑制すること、
従って貯蓄は一種の苦痛と見ることも可能であるが、
快楽を捨てることではなく、延期すること、
しかもさらに大きな快楽への可能性を生み出すことだから、
人によっては楽しみである。」
(『金銭読本』)
そういわれれば、確かにそういうところがありますね。
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