第431回
邱さんの知恵を借り“アジア関連株”をすすめました
私が“邱永漢学入門”セミナーを開いたとき、
参加してくださった良知正浩さんから
「どこの株を買えばいいですか」ときかれて
マブチモーター株を推奨しました。
なぜ、マブチモーター株を推奨したかといいますと、
当時、邱さんが「スポーツニッポン」に
『成熟ケチケチ社会』と題する連載をしておられ、
そのなかで、邱さんが「アジア関連株という角度から見る」
(『成熟ケチケチ社会』に収録)と題するエッセイのなかで、
次のようにマブチモーターを紹介したのです。
「日本の大半の輸出産業は円高に前途を阻まれて
次々と採算割れを起こす傾向にある。
そうした傾向を見越して
早くから海外に工場を建設して
現地生産に切り替えたり、
現地相手の商売で成功している企業もある。
たとえば、マブチモーターは労働集約的な手作業を
人件費の高い日本でやることを早くから断念し、
国内には一切工場を持たず、生産の99%まで、
海外生産に切り替えてしまった。
国内には約1000人の従業員がいるが、
いずれも開発と販売に従事している。
それに対して海外の子会社、合弁会社では
約3万人が働いているが
日本で1人雇える給料で
50人雇える地域に狙いを定めているから
600人の給料で3万人の人が働いている勘定になる。
世界の小型モーターの
5割以上の市場を独占しているとは言え、
もし、早くから円高を予想し、
その対策を打っていなかったなら、
市場を確保することもできなかっただろうし、
一株、7、8000円という抜群の株価を
維持することもできなかったであろう」
邱さんはこのエッセイで、同じ趣旨から
ミツミ電機とかキャノンについても筆を進めていますが、
私はこの文章が書かれた前年に
邱さんについて中国に行き、
大連で外観だけですが、
マブチモーター新鋭工場を見学し、
これがマブチモーターの工場か、
立派な工場だなあ
という印象を受けて帰ってきていました。
そうしたことで、私は良知さんに
マブチモーター株を推奨したのです。
良知さんは、マブチモーターという会社の存在を
まったく知りませんでした。
が、次に会ったときには
「大枚はたいて、マブチモーター株を買いました」
と報告してくれました。
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