| 第394回「第一志望に敗れたからといって、嘆き悲しむことはない」
 「あなたのやりたいことは何ですか」「この先どんなことがしたいですか」
 ときかれても、
 「いまの自分にはこれが自分の夢だといったものはないよ」
 という人が少なくないように思います。
 「遠い昔には自分の夢や願望といったことを胸に描いたこともあったけど、
 厳しい現実にぶつかり、もまれている間に
 いつのまにか夢も願望もすりへって
 今更、そんなこと考える気力もわかないよ」
 とおっしゃられるかもしれません
 そういう人にとっては、邱さんが47歳のときに書いた半自伝
 『私の金儲け自伝』の最後に書かれている言葉が
 参考になるかもしれません。
 ご承知の方も多いと思いますが、邱さんは20歳代前半の頃、
 台湾独立を果たすために、国民政府に立ち向かい、
 その結果、国民政府のお尋ね者になり、
 国籍を持たない状態で、自分の活路を開いてきました。
 そんな邱さんの過去を念頭に入れながら
 お読みになってください。
 「私は青春の賭けに負けた失敗者である。『お金儲けの神様』とはその往生したようなものである。
 だから、私は自分を成功者などとは少しも思っていないが、
 しかし、自分の理想を実現できなかった人にとっては
 励みになる面があるかもしれない。
 かつて世界的な大富豪であるポール・ゲティがその著書(『生きることの価値』)のなかで
 『人はいちばんやりたいと思っていることを
 いつでもできるとは限らないが、
 それに代わる適当なものを選び、
 それに適応できるものだ』
 という意味のことを述べている。
 東京が駄目なら大阪があるさ、という流行歌があるが、
 ロクに成功もしないのに、
 次から次へと職業をかえていっても仕方がない。
 しかし人生は一つの仕事で成功できなくても、別の仕事で、それとあまり変わりのない成果を得ることができる」
 (『私の金儲け自伝』)
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