| 第364回「自分の選んだ国が自分の国です」
 平成4年に出版された『嫉妬の世の中をどう生きる』
 という本に「行け、行け、どこにでも旅に行け」
 というエッセイが掲載されていますが、
 邱さんはそこで、こう書いています。
 「人間がより動物的か、より植物的かは、私は慣れの問題だと思う。
 若いうちから気軽に旅行をしたり、
 勤務先を外国からスタートしたら、
 それが習慣になって
 身軽にどこにでも動けるようになる。
 そういう意味では、学生時代から寝袋担いで北海道や沖縄に気軽に出かけるのはいいことだし、
 休暇を利用して世界貧乏旅行にでかけるのも、
 その一生の行動半径を決める上で
 決定的な役割をはたす。
 行け、行け、どこにでも旅行に行け、というのが私のおすすめである」
 また『嫉妬の世の中をどう生きる』にはこのエッセイに続いて
 「自分の選んだ国が自分の国である」
 という文章も掲載されています。
 「これだけ多くの人々が世界を股にかけて歩くようになれば、
 私はそのうちに自分らがどこで仕事をすればよいか、
 またどこで骨をうめればよいか、
 自分たちできめる時代がやってくると思っている。
 日本に生まれたから、日本国内に住まなければならないということはない。
 現に田舎に生まれた人が
 自分の故郷でもない東京に集まっている。
 東京に住んでいる人の出身地で分類したら、
 それこそ田舎っぺの大集団ということになろう」
 前に邱さんは考え方が自由だと書きましたが、今日紹介したような文書を読むと
 考え方一つで、私たちももっともっと
 自由に行動できるということがわかります。
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