第357回
いつの時代も「天は自ら助くるものを助く」です
邱さんが昭和57年に書き下ろしで書いた
『ダテに年はとらず』という本に
「国民年金などあまりあてにするな」
というエッセイが載せられています。
このエッセイで邱さんは次のように書いています。
「老後の生活問題を解決する方法としては、
(1)退職金の支給
(2)企業年金
(3)厚生年金
(4)国民年金
の4つが現実に実施されているが、
私は早くから『退職金はあてにするな』
『退職金というものは、体のよい手切れ金みたいなもので、
もともと生活の足しにしかならないものだ』。
だから『退職後の設計は自分でやれ』
『退職金が大きく見えるようでは、
定年後の設計は失敗したものと思え』
といってきた。
このことは企業年金や厚生年金や
国民年金についても同じある。
福祉国家が叫ばれ、母子家庭や老人に対する
生活手当てが支給されているが、
それは雀の涙ほどの金額にすぎず、
生活を支えて行くには十分でない。
国や慈善団体がくれるものは
いつだって、そういう中途半端なものだし、
『くれないよりはまし』と思って
有難くいただくのはよいが、
別にちゃんとした対策をとる必要はあるのである」
(「国民年金などあまりあてにするな」
『ダテに年はとらず』に収録)
そして邱さんは
「老後の対策は自分たちでやるにこしたことはない」
と考え、その対策の1つとして
「国に面倒を見てもらうより家族が面倒を見るという
昔ながらの家族制度に戻り」、
「どうにもならない人だけが、国に面倒みてもらうようにする」
のがよく
「『年金をたよりにするようでは、大した人生ではなかったなあ』
と皆が思うようにならなければ
日本は年金制度とともに沈没してしまうのでないかと危ぶむ。
結局、いつの時代でも、
『天は自ら助くるものを助く』のコトワザ通り、
国家財政も含めて他人はあまりあてにならないから、
それを除外した対策をとるほかない」と書いています。
この文章を読んでから20年余の歳月がちたちましたが
『退職金が大きく見えるようでは、
定年後の設計は失敗したものと思え』というフレーズは
いまも私の頭のなかに強く焼きつけられています。
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