第324回
「好奇心にまかせて何でも体験しよう」
『野心家の時間割』を読んだとき、
「『行きつけの店』より『未知の店』」
という見出しに強い刺激を受けましたが、
同じように強い印象を受けた見出しの言葉で
「何でも体験してビッグになろう
―食わず嫌いがあなたを小さくする」
というのがあります。
この言葉がききすぎて、
そこに何が書かれていたのか、
忘れてしまっていましたが、
今回、読み返してみると
活力を高めてくれるようなことが書かれていました。
「旅行をひんぱんにすれば、
見聞はそれだけ広くなるが、
その分だけ知恵がつき、
賢くなったといって自慢できるとは限らない。
しかし、知らないことを知りたいという好奇心と、
それを求めて時間を使うということは、
たとえそれが本業からみたら
『道草』の一種に過ぎないとしても
よい体験であると思う。
サマセット・モームもいっているが、
『若い人はできるだけ体験を積んでおく』
にこしたことはないのである。
どんな体験も、たとえそれが一見、
とんでもない体験であっても、
そんな体験をしたことのない人に比べれば、
体験した人間の『人間としての幅』を広げてくれる。
よく『食わず嫌い』というのがある。
体質的にそれを受けつけない人もあるが、
私にいわせると、多くの場合、
『好奇心の不足』に端を発している。
好奇心のない人は、経済の分野でも、
芸術の分野でも大をなすことができない。
若い間は、トルコでも、ホモでも、レズでもSMでも
何でも体験してみたらよいのである。
その中から取捨選択して
自分に向いた人生を歩んで行けばよいのである。
自分で何一つ体験せずに『あれは嫌、これは嫌』
『あんなけがらわしいこと』と
人のことを非難するのは心の狭い人である。
高層ビルの最上階にも、
地下の機械室にも入ったことのない人が、
東京がどんな具合にできているか、
わかるわけがないのと同じである。」
(『野心家の時間割』)
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