第322回
「自分が何に向いているかはやってみないとわからない」
邱さんは、何事も、実際にやってみなければ
わからないことが多いから、
こうと思うことがあったら
実地で行動にうつしてみることをすすめます。
この趣旨から『野心家の時間割』でも
どんな仕事が自分には向いているかは
やってみないとわからないから、
面白い仕事に出会うまで、
職場を変えることをいとわないようにと
アドバイスしています。
「ひと口に好きな仕事といっても、
自分が本当は何が好きなのか、
また本当は何に向いているのか、
誰にもよくわかっているとは限らない。
とりわけフレッシュマンの間は
何もわからないのが当たり前で
それがわかるようになっていくのは、
27歳から40歳までの間であろう。
私は人間が独立して自営に踏みきれるのは
原則として40歳までと見ているが、
それは人間の仕事に対する好悪の感情は
そのくらいの年齢までの間に
はっきりきまってしまうからである。
自分は机に向かってやる仕事に向かないとか、
自分はセールスに向かないとか、
また自分は人をたくさん使う仕事には
向かないといったことは、
仕事をはじめて3年か5年すれば大体わかってくる。
しかし、自分はこんなことに向いている、
こんな仕事なら夢中になれる、
と自覚するためには、
そうした環境におかれてみなければわからない。
実際に仕事をしてみて、
見込みが立ちそうな目算が出てこなければ
仕事が面白くなってこないから、
本当に面白いと思うまで
何回でも職場を変えてみる必要がある」
(『野心家の時間割』)
そして邱さんはこうもおっしゃっています。
「最近の先端産業の動向を見ていると、
大企業よりはむしろ中小企業に
技術的にすぐれたものが輩出しているし、
販売業やサービス業を見ても、
小粒でも個性のある企業が優位にたちはじめている。
マスプロ、マスセールスの商品が
以前ほど消費者に訴えなくなって、
産業界に大きな変革がきているからであろう。
こういう時代には、
人に指図されて仕事をしている人よりも、
好きな仕事に夢中になっている人の出る幕が多くなる。
何が何でも自分の好きな仕事をみつけて、
いくら時間があっても足りないと感ずるようになるまで、
ゲリラを続けるくらいの勇気があってしかるべきではないか」
(同上)
ちなみにこの文章が書かれたのは
昭和58年から59年にかけてのことです。
いま起こっていることの兆しは20年前のころに
すでにあったということですね。
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