第313回
「中年以降のビジネス成功の秘訣は“性”に合っていること」
定年を迎えるようになってからの生活設計は、
定年近くなった人にとって切実であるのはもちろんのことですが、
いま30代、40代の人にとっても、
深い関心を寄せているテーマだと思います。
今日は『生き方の原則』に掲載されている文章を
抜粋させていただきます。
「『定年後は退職金を資本に小さな喫茶店を開き、
女房と二人でのんびりと過ごしたい』
コーヒー屋のオヤジというのは、
男が何となくあこがれるのか、
こんなふうに思っている人は少なくありません。
そして実際に喫茶店をオープンするのはいいのですが、
うまくいかなくて店を閉じてしまう人もまた少なくありません。
もちろん立地条件やそのほかの理由もありますが、
失敗する大きな理由の一つは、
その仕事は本当は好きではない、
“性”に合っていないからです。
はじめる前は、コーヒー屋が好きで、
インテリアはああしよう、テーブルはこうしよう
などといろいろ考えていた。
ところがそれは、コーヒー屋さんの雰囲気が好きなだけで、
おいしいコーヒーを入れるにはどうしたらいいかを考えたり、
お客さんにサービスしたりすることはあまり好きではなかった。
根性がない上に、計算がしっかりしていないと、
長続きしないものです
反対に、私の知り合いで、サラリーマンですが
菓子づくりが趣味の人がいました。
休日などにはいろんなケーキをつくっては
近所に配ったりして喜ばれていました。
そして定年になるのを待って、
チーズケーキの店をオープンしました。
資金が少ないので、
店はお世辞にもおしゃれな店とはいえませんでした。
ところが、いざフタをあけてみると、
評判が評判を呼び、行列ができるほどの大繁盛で、
いまでも毎日嬉々としてチーズケーキを焼いています。
成功の秘密はやはり、
根っからモノをつくることが好きだったからです。
いつもどうしたらもっと
おいしいケーキが焼けるかを研究している。
それが“性”に合っていたのです。
成功の秘密はここにあります。
このようにとくに中年以降になってからの仕事では、
儲かることよりも、自分が本当に好きなのか、
自分の“性”に合っているのか、
それが重要な要素になります。
定年後は収入を維持するよりも、
仕事があることのほうが大事ですが、
第二の人生に成功するためには、
自分がその仕事が好きであるということが
最低の条件になります」
(『生き方の原則』平成8年)
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