Qさんは、かつて「知恵は借り物でも知恵である」と書きました
そういうことをおっしゃる人の知恵ならいくら借りてもモンクは出ませんね

第312回
「老人のベンチャー・ビジネスに反対ではない」

人間の寿命がだんだん延びていく一方、
経済環境が大きく変わってきましたので、
定年を迎え一回目の人生を終えた人にとっても、
その後の生活の設計が、益々重要なテーマになってきました。

邱さんは『私は77歳で死にたい』のなかで
年をとっても、働くことを続け、
「休まず働いて、ときどき海外旅行に行くのがいい」
と述べる一方、定年を迎える人に向けて
「せめて60歳からあとの人生の最後の4分の1くらいは
自分の生き方を自分の判断での選択したいものですね」
という意味を込め、次のような文章を書いています。

「ではどんな選択が考えられるだろうか。
人は60歳をすぎても、若い時と同じように、
汗水垂らして働くべきなのだろうか。
それとものんびり遊んで暮すべきだろうか。
『休まず働いて、ときどき海外旅行がいい』
と前に書いたが、それは私の選択であって、
誰もがその通りでなければならないということはない。

もうすでに十分働いたのだから、
『晴耕雨読がいい』と思う人もあれば、
『趣味に生きる余生を送りたい』
と思う人があってもさしつかえない。
いや仕事を離れたら頭が呆けるのも早くなる。
会社の仕事をやらせてもらえないのなら、
かねてよりやりたいと思っていた仕事をこの際、
はじめからやるべきだ、などなど
定年後にひらかれる新しい生活は無数に考えられるが、
とにかく
『やりたいようにやり、やりたい仕事をやればよい』のである。

たとえば長い間会社勤めだけやって、
自分の採算で仕事をやったことのない人が、
定年になって新しい仕事に手を出したのでは
失敗の可能性が大きい、と考える人がある。
しかし、年寄りは若者よりは経験を積んでいるから、
若者よりは何事にかけても、慎重である。
そういう人が事業に手を出す時は
少なくとも若者よりはソロバンがしっかりしている。
営業のプランを立てる時だって、
売上げは少なめに、経費は多めに、
当面、利益があがらなくとも
やっていけるような資金計画を立てているはずである。
だから私の知っている範囲内でも
六十の手習いから始めた手づくりのパン屋や植木屋で
見事に成功している例がたくさんある。

これから老人もふえることだし、
老人のベンチャー・ビジネスもふえることだろう。
そういう老人のベンチャー・ビジネスに反対ではない。
むしろ損をおそれて引っ込み思案になっている老人たちが、
セールスマンの口車に乗せられて、株を買わされたり、
先物に手を出したりすることのほうを私はおそれる。」
『私は77歳で死にたい』平成5年)


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2003年7月5日(土)

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