第311回
「50歳からの脱サラでも新鮮さはある」
リストラの対象にされる50歳前後の人たちに向けて
邱さんが発信したメッセージの抜粋を続けます。
この文章の中で邱さんは50歳で独立を図る行為に対しても
それなりに「新鮮さがありますよ」
という好意を示されています。
「『いつでも辞めて一からやりなおす』積りになっておれば、
ふだんから『自分にできることは何か』
『どんなことをやれば、仕事として成り立つか』
『それを実行するために、どれだけの資金が必要か』
『どんな人の協力を必要とし、また誰と誰を部下
もしくはパートナーに持つことができるか』、
絶えず構想を練り、また準備をすることになる。
治に居て乱を思うくらいの対策は、
お家安泰のサラリーマンにも必要なことであろう。
むろん、独立自営に向かない人もいる。
そういう人は、逆に転職先を探すことになるが
出世コースからはずれ、再就職することになれば
収入は半減するのが普通である。
そこから再出発して、
新しい職場でその実力を認められるようになれば、
再び重要なポストに就くことも、
また以前の収入にありつくことも決して不可能なことではない。
むしろ第二の人生に自信をつけることができる。
そういう仕切りなおしを人生の挫折と考える代わりに、
新しいチャンスへの挑戦と考えることができれば、
人生の後半を上手に生きたことになる。
会社を辞めるのをしおに、独立自営に転ずるのは、
転職するのに比べれば勇気の要ることである。
それを実行するには、
体力も気力も充実した年齢にこしたことはないから、
40歳前後が適当だと私は考えているが、
誰もがその年齢で独立できるとは限らない。
客観的に見て50歳では少し遅すぎるけれども、
私の知人の中にも50代になって宮仕えを辞め、
独立して事業に成功した人がいくらもいる。
40歳に比べると、体力、気力で
衰えがあることはかくせないけれども、
その分経験も積み、人間関係の層も厚く、
且つ、社会的信用において
若年層にもまさるという点もある。
また自分の実力や才能の限界を知っているので、
あまり無茶をやらずにすみ、
大きな失敗をしないですむというメリットもある。」
(『鮮度のある人生』平成9年)
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