| 第304回「自分が好きな仕事でなければ熱が入りません」
 選んだ事業がうまくいくかどうかは時流にうまく合ったものであるかどうか
 ということのほかに
 自分の性格や能力にぴったりしているかどうか
 ということが関係すると邱さんはおっしゃいます。
 「いくら時流に合った商売でも、それが自分の性に合うかどうか、
 また自分の能力でうまくこなせるかどうか、
 で成功する事業も失敗に帰することが起こる。
 物をつくることに興味を持った人に、
 物を売りに歩けといっても無理だろうし、
 その反対も同じように無理であろう。
 学校時代にレストランでアルバイトしていた若者が、大学を卒業して電子関係の会社に就職した。
 世間の人から見ると、成長産業に就職して
 結構なことじゃないか、ということになるが、
 本人は一向に気が向かず、
 改めて自分が電子工業に向いていないことに気づいた。
 1年たって、思いきって会社を辞め、古巣に戻って今度はコックの修業からはじめることになった。
 『何というもったいないことを』と惜しがる人もいるだろうが、
 私から見ると、『これでいいのだ』という気がする。
 自分の性に合わないことをイヤイヤやっていたのでは成績もあがらないし、どんなに前途有望な仕事だろうと、
 自分の嫌な仕事で成功できる人はほとんどいない。
 客観的に有望な業種でも、
 それを受けつけない人にとっては
 有望業種とはいえないのである。
 反対に、フランス料理だろうと、中華だろうと、
 また料理づくりからスタートしようと、
 あるいはレストランのマネジメントからスタートしようと、
 本人が熱心に打ち込むだけの情熱を持っていれば、
 道は自ずから開かれる」
 (『四十歳からでは遅すぎる』)。
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