第287回
頼まれ仕事を自前の事業にしあげていくのが素晴らしい
私は河野さんが独立、
自営の道に踏み出す時の心境をうかがいました。
戸田:「河野さんが一番悩まれたのは
開発したシステムをひっさげて独立し、
自営の道にふみだすか、
それとももとの考えの通りに、
組織の中での人生を継続するかの
選択だったのではないですか?」
河野:「その通りです。
開発したシステムを武器に独立するか、
会社生活を続けるかでずいぶん悩みました。
一つ思ったことは会社の仕事は
仮に自分がいなくなっても誰かがやれる、
代わりがいるということなんです。」
戸田:「なるほど」
この言葉を裏から言えば、
古書通販のしくみづくりは
自分がやりつづけるほかないと考えた
ということでしょうか。
河野さんは平成7年に、リコーを退職し
インターネットを介して古書を販売するシステムという
ソフト商品を売物にした“紫式部”を創設しました。
平成7年に会社を設立したとき、
加盟してくれた古書店は3社でした。
が、それからインターネットで
物を買うという生活スタイルが少しずつ生まれ、
開業から4年たった平成11年くらいから
加盟店が急ピッチで増えるようになり、
いまも、月に2、3店の加入があって、
いま加盟店は130に及んでいるのだそうです。
邱さんの「野心家の時間割」という本で邱さんは
心の満足を得るには、
「『寝食を忘れる』仕事につく」ことが一番で、
それには「情熱を傾けるだけの値打ちのある対象を
みつけることが先決」と書いています。
河野さんは、ボランティアの仲間の人から受けた相談事を
「情熱を傾ける対象」に仕上げ、
自前の事業にしていくところが素晴らしいですね。
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