第288回
古書販売業は知的な楽しみを提供するビジネス
河野さんと2時間ばかり懇談したあと、
近くの焼鳥屋さんに場所を変えましたが、
私は河野さんに質問を続けました。
戸田:「ボクが知っていたネットの古本屋さんとしては
日本の古本屋とか楽天の古本コーナーですけど、
それらと河野さんのところとどちらが早いのですか」
河野:「ボクのほうが開発が早かったです」
と河野さんはサラリと答えました。
あとで調べて、知ったことですが
自由国民社が出版した「現代用語の基礎知識2002」が、
はじめて「古書ネット通販」という言葉をとりあげ、
「古書ネット通販」とは
「インターネットを介しての古書通信販」のことで、
「インターネット情報サービス会社・紫式部によって開始された」
と解説しています。
また河野さんはホーム・ページで開発拠点として
東京、横浜、ニューヨークの三都市をあげていますが、
私は、河野さんと話し込んでいるときに、
ロンドンの古本屋さんが描かれている
「チャリング・クロス街84番地」(中公文庫)
という本を読んだことを思い出し、
河野さんに、この本を読んで、
イギリスの古本屋さんのことを勉強できて
面白かったと話しました
「チャリング・クロス街84番地」という本は
ニューヨークに暮らしていた著者が、
読みたい英国文学の本が入手できないので、
ロンドンの古書店に一通の手紙を送り、
数日後に、古書店の担当者から丁寧な返事が届いたことが、
きっかけで、書店員と顧客が20年以上にもわたって
海を越えて交わすようになった書簡をまとめたものです。
そうすると河野さんは私に話してくれました
「ある国の言葉に『人生を楽しむには
3人の友達が必要だ』というのがあるのです。
3人とは医者と弁護士とそれに古本屋なんです。
古書店は知的な面での楽しみを提供する
という面を持っていますから、
ボクはこの点を強くアッピールしていきたいと思っています」
私はこの河野さんの説明に賛意を表しました。
というのも、私は毎日こうやって、
邱さんの本から得た知識や知恵について
書かせていただいていますが、
私は自分が読み出す前に出版されていた邱さんの本の大半は
古書店を通して仕入れたわけですから。
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