第283回
「40年ぶりに訪れた旧友のお宅で邱永漢作品談義」
“二十世紀文庫”の門脇さんから
門脇さんと私の共通の友人で、
二人がメールを交換するきっかけをつくってくださった
石和田さんを交えて一緒に飲みませんか
というお誘いがかかりました。
私は大学生のころ、石和田さんのご自宅に
何度も何度もお邪魔し、たいてい
寝泊りさせていただきました。
私にとっては、なつかしい思い出で
その頃のことは、いまも脳裏にやきついています。
私が泊めていただいた家はすでに取り壊され
石和田さんがそのあとに
新しい家を新築したとのことですが
遅ればせながら新築祝いをかね、
なつかしい石和田邸にうかがいたいとお願いしました。
石和田さんは私のそうした気持ちをくみとってくださり
ほかの友人にも声をかけて
食事会を開いてくださることになりました 。
かくして40年ぶりに鶴見にある
石和田洋さんのご自宅を訪問することになりました。
私が妻を連れ添って到着したときには、
もう門脇さんご夫妻と
本間さんという高校時代の友人が到着していました。
石和田さんの奥さんのおもてなしを受けるにつれ、
昔のことが走馬灯のようにおもいだされましたが
この席には私と同じように邱さんに関心を持ち、
メールを通してすっかり親しくなっている
門脇さんというネットの古本屋さんがおられます。
私は邱さんの本をダブって持っているのがかなりあり、
門脇さんにそれらを活用いただきたいという気持ちもあって
『邱永漢』著作を重点商品の一つとして
扱っていただけないとお願いしました。
門脇さんはふってわいたような突然の依頼に
どう対処したらいいか、戸惑い気味でしたが、
門脇さんと私の“邱作品談義”は4、5時間続きました。
そして、翌日には門脇さんは“邱永漢文庫”を開設します
という返事をくださいました。
「今28冊しかない二十世紀文庫の『邱永漢』在庫を
自分なりに今後充実させていきます。
戸田さん蔵書を二十世紀文庫で扱うとなると、
事務処理がわずらわしくなります。
戸田さんの蔵書はそのままとっておいていただいて、
将来ご自身で“邱永漢専門店”を
おつくりになったら、いかがでしょうか?
二十世紀文庫“邱永漢文庫”は文字通り、
文庫本中心品揃えで勝負します。
差し支えなければ、邱永漢作品で中々手に入らない本、
または人気メニューの本のリストを教えて下さい」
私が門脇さんにお礼のメールを送ったことは
いうまでもありません。
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