第264回
借金でお金をふやす考えは時流に合わなくなりました
私が邱さんの本を読み出してから7年くらいたった
昭和61年頃のことですが、
この頃から東京のマンションが急騰するようになりました。
あとで知ったことですが、その前あたりから
邱さんは日本で投資向きのマンションを買うことをやめています。
「のちにマンションは大暴騰して、
最盛期は坪当たり500万円にも1000万円にもなった。
しかし、坪当たり200万円台をこえた時点で、
私は借金してマンションを買うのを断念した。
200万円をこえると、必要資金の半分を自分が出しても、
そのマンションからあがる家賃で
ローンの元利の返済ができなくなってしまったからである。
銀行の利息が払えないような投資は
投資の本質から外れていると私は思った。
ところが、建て売り住宅が値上がりすると、
また売れるといって不動産屋が
もっと高い値段で土地を買う。
それが永遠に続くと錯覚を起こして、
マンションを建てる業者が後を絶たないし、
それを買う人が土日になると、
新聞広告を頼りに目ぼしいマンションをみてまわる。
大した収入のないサラリーマンなのに、
マンションを100室以上まで買ったという人まで現われて
私をびっくりさせた。
商売というものは
皆がそれを常識として受け入れるようになれば、
商売でなくなってしまう。
利回りも悪くなるが供給も過剰になって
バランスが崩れてしまうからである。
はたしてバブルの最終段階になると、
借金をしてマンションを買わされたサラリーマンたちは
物の見事にババをつかむことになってしまった。
最終段階になると共に通用しなくなってしまった。
経済観念はあるのに、
常識はいつ覆されるかわからないという事実を
無視した人たちがひどい目にあってしまったのである。」
(『デフレに強い知的金銭生活』)
かつては時代をリードしていた考えも時間の経過とともに、
時流にあわなくなるものだということですね。
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