第261回
「借金が重荷になっている人は整理するといい」
「泣いて借金と協議離婚を」という文章で邱さんは
「温かい南風が吹いていたのが冷たい北風に変わったとか、
満潮が続いていたのが猛烈な引き潮に変わってしまった
というほどの変調が起こっている」と時代の変化をとらえています。
そのあとの文章を読み続けます。
「もちろん、これによってインフラが消滅し、
デフレが常態になるものでもない。
長い歴史を見れば、デフレでさんざん苦しんだあとに、
またインフレの世の中に戻る。
1929年の頃の1ドルと、いまの1ドルの値打ちがどんなものか、
1945年の1円と50年後の今の1円がどう違うか、
比べるまでもないだろう。
しかしデフレになると泥沼のような状態が続き、
どこかを突破口としてデフレ地獄から脱出する必要があると
多くの人が認識するようになるまでに、
あと少なくとも5年くらいはかかりそうである。
すると、その間、デフレの波にあらわれるから、
お金を借りてマンションを利殖用に買うのは採算にのらない。
当分の間、インフレに相乗りして
お金を儲けるチャンスはないと考えなければならない。
自分の財産対策をここでもう一度、
見直す時期にきている。
借金が重荷になっていない人は
あわてて不動産を売る必要はない。
不動産に比べて現金の方があてになる
ということはないからである。
しかし、借金の重みが肩に食い込んで
とても5年も耐えられそうにない人は、
この際、思い切って整理をした方がいい。
損というものはチャンスが来れば、
またカバーのできるものである。
お金に恋々として損を見切れない人は
お金に絡みつかれて身動きができなくなってしまう。
肩の荷をおろすのが先ず第一である。」
(『ダメな時代のお金の助け方』)
この文章が書かれてから8年の年月がたちました。
残念なことですが、デフレが本格化して
「泥沼のような状態」に落ち込むのではないかという
邱さんの予想が的中したような世の中になっていますね。
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