第259回
「年をとるにつれて若い人に囲まれるようになった」
私が邱さんの中国ツアーに参加したしたのは
10年も前のことですが、このツアーには、
台湾で邱さんの指揮下で働いている青年たちが参加し、
上海空港で大連行きの飛行機を待つ間、
邱さんが彼らと円陣を組んで作戦を討議している風景を拝見し、
それまで気づかなかった邱さんの一面にふれた思いがしました。
こういう風に若者と一緒に仕事をするのが
邱さんのかなりの活力源になっているんですね。
「住む世界が変われば、つきあう友達も変わる。
仕事の上の友達は友達ではないと言う人もあるが、
毎日、顔を合わせ、仕事でお互いに相談に乗り、
飲み食いのきかいもあれば、それなりに友達である。
もしそんなの友達じゃないと言うなら、
人間ははたしてこの世に友達はいるのか
と言うことになってしまう。
心の中で『この野郎』と思っているライバルでも、
会えば時候の挨拶もするし、
冠婚葬祭にも駆けつけてくれる。
それはそれなりに友達なのである。
そういう仲でも長く続くかどうかは、
おかれている環境に支配される。
いくら行き来があっても何らかの接点がなければ、
何十年もつきあっておられない。
もう一つ、年齢を重ねると、
つきあう人がしぜんに変わってくる。
若い時、私は自分より年上の人とつきあったが、
年をとるにつれてそれがいくつくらいの頃か、
記憶にないけれども、
多分、若い時は人生経験を積んだ人の方が、
知恵もあり経験もあり
教えられることが多いと思ったが、
自分が年をとるにつれて、
人間の知恵とか、経験には自ら限界があり、
底が見えてしまったからであろう。
同年輩よりは、若さの持っている情熱や初々しさや
可能性に却って魅力を感ずるようになり、
気がついてみたら、若い人たちばかりに
とりかこまれるなってしまった。」
(『みんな年をとる』)
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