第258回
「古い友人もいいが、新しい友人はもっといい」
邱さんの箴言録を編集する機会を得た時には
必ず盛り込みたい言葉がいくつかあります。
そういう言葉には共通点があります。
自分の頭の中にできてしまった
常識的な考えをコツコツ叩いてくれ、
そのあとに新鮮な風を送ってくれるのです。
「古い友人もいいが、新しい友人はもっといい」
はそういう言葉の一つです。
「人はよく古い友達のことをあげつらう。
高校時代の友達ほど頼りになるものはない。
古い友達を大切にしなければならない、
と本にも書いてある。
しかし、ふりかえって自分の人生を見ると、
学校時代の友人などはもうほとんど残っていない。
たまに同窓会に行って昔の友人にあったら
懐かしいことは懐かしいけれども、
話を二言三言かわしてみると、
考え方も違うし、元気もないし、
しばらく会わないうちに
すっかり縁もゆかりもない人になってしまったなあ、
という気持ちが先に立つ。
『昔の友達はいいなあ』というのは
単なるセンチメンタリズムにすぎず
実際に役に立つ友人は
いまの自分の環境の中で、
うまく話があうとか、
仕事の上でつながりのある人に限られる。
だから新しい環境におかれて
あたらしくできた友人が本当の友人で、
昔のことにこだわっている人は
新しい環境になじめない分だけ新しい友人はできにくい。
私などはしょっちゅう仕事を替えるから、
その度に付き合いの相手が変わる。
新しい仕事の相手がすべて友人になれるわけではないが、
その中かから友人になって
親しく付き合うようになる人が必ず現われる。
古い友人もいいが、そういう新しい友人はもっとよい。
同じ駕籠を一緒に担ぐ以上、気が合うにこしたことはないが、
利害が一致するということのほかに、
志を同じくすることが人と人を親しくさせる。
『道を同じくしない者を友とするなかれ』
と孔子も言っているが、
その人なりに似た環境で友達になれる人は
志を同じくする人である。
そういう友達をつくれば
『夜道も明るくなる』というものである」
(『みんな年をとる』)
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