| 第244回「中年以後の最高の健康法は事業に失敗しないこと」
 邱さんが「健康のための五つの法則」で第五に挙げたのは「中年以後になってから事業に失敗しないこと」です。
 このことに関して邱さんは『死に方・辞め方・別れ方』
 (昭和58年)で自分の考えを詳しく書いています。
 「よく『健康法は何ですか?』と質問されることがあるが、中年以後の最高の健康法は、
 ゴルフをやることでもなければ、テニスをやることでもなく、
 事業に失敗しないことであると私は言いたい。
 では中年以降、絶対に事業に失敗しない方法が
 果たしてあるであろうか。
 私は『それはある。事業をやらなければ、
 先ず絶対に失敗はしない』
 とへらず口をたたいているが、
 しかし、年をとって何もしないと、
 緊張感がなくなるから、むしろ早くボケてしまう。
 ボケないためには、常に緊張感を
 味わっていかなければならないが、
 健康を害しないためには、逆に失敗しないことが要求される。
 それ自身、矛盾したことを
 同時にやらなければならないわけだから、
 そのへんの調整をうまくやらなければ、
 上手に年をとれないのである。」(『死に方・辞め方・別れ方』)
 この「中年以後の最高の健康法は事業に失敗しないこと」という法則は邱さんによれば
 「サラリーマンにもあてはまる」のだそうです。
 「これは事業家だけでなく、サラリーマンにとっても同じようにあてはまる。
 サラリーマンの大半は、企業にやとわれて、事業に従事し、
 その成果はそのまま自分のポケットに入らずに、
 企業のポケットに入ってしまうから、
 危険負担の度合いが自営業者とは違う。
 しかし、事業がうまくいかなければ、
 左遷される心配もあるし、
 鬱々として飯も喉を通らないことにおいては何の変わりもない。
 そういう意味では、たとえ会社の危険負担でやっている人でも、
 最高の健康法は、同じように仕事に失敗しないことであろう。」
 (同上)
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