第242回
「適度に不養生であること」と「適当に病気を持っていること」
邱さんが『食べて儲けて考えて』(昭和57年)に掲載された
「健康のための五つの法則」で第一に挙げたのは
「適度に不養生であること」です。
「俗に『医者の不養生』というが、
患者に摂生を強制する医者が大酒を飲んだり、
徹夜マージャンをしたりしている。
これは理にかなっているばかりでなく、
大切なことでもある。
どうしてかというと、
『酒も飲まず、煙草ものまず、夜ふかもしない』
ような生まじめな生活をしている人が
病気でもしようものなら、
コロリと行ってしまうほかないけれども、
不断から不摂生をしていると、
病気のたびに一つずつ不摂生をやめて行けば、
まだ相当持つからである。
不摂生といってもアル中になるほど大酒にひたるとか、
公害の街の空気よりひどい煙草の中に
うずくまっているのでは困るが・・・・・。」
第二は「適当に病気を持っていること」です。
「私の場合は、中年になってから糖尿の気があるようになった。
著名な糖尿の医者のところにかよったが、
いつも同じことしかいってくれないので、
あきあきして行くのをやめてしまった。
最近は、癌のような急激に進行して死んでしまう病気の人でも、
丸山ワクチンを常用して癌と同居しているそうだが、
病気と共存共栄(?)をきめこむと、
結果は健康患者よりよいことになる」
第三は、「あまり薬を飲まないで、
なるべくふだん食べる料理で調整すること」です。
「古川ロッパさんは大の薬好きで、
製薬会社が見本に送ってきたものを、
色のきれいな順序に、片っぱしから飲んだそうであるが、
私は薬をほとんど飲まない。
糖尿の薬をもらってきても、
あまり飲まなかったし、
のちには全くやめてしまった。
最近のアメリカの発表を見るとあの薬には副作用があって
血管がボロボロになってしまうということである。
私は薬を飲むよりうまい食事をするのが第一で、
もし食事療法をしなければならないなら、
ありきたりの材料で研究するのがよいと思っている」
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