| 第240回「大切なのは資格より実際にやれる実力です」
 失業状態に置かれる可能性のある人たちに対する邱さんのアドバイスの続きです。
 「頼りになる人とはどういう人か」
 という原点に立っての忠告が書かれています。
 「仕事のあるところはほとんどが若い人が求められるところでもある。
 若い人に伍して競争しようと思えば、とりあえず
 パソコンが操作できなければならないし、体力も要求される。
 そんなことできないよと頭から否定してかかる人が多いが、
 その気になればやれないことではない。
 しかし、どうしても無理と言うなら、
 次は若い人がやりたがならい仕事、
 もしくは若い人ではできない仕事ということになる。
 こちらの方が中年から上の人には向いているかもしれない。
 いままで自分が身につけた知識や経験をいかすことができたら
 一番いいにきまっているが、いくら有望でも
 これから資格を取りに行ったのでは間に合わない。
 資格とは営業ライセンスみたいなものにすぎない。弁護士にしても税理士にしても、
 あるいは不動産鑑定士でも、そういう資格があるよりも
 経験が豊富で頼りがいがあるかどうかが決め手になる。
 だから資格をとるなら若いうちだが、
 資格を持っているよりも実際に何かやらせて
 本当に役に立つかどうかの方が大切である。
 とりわけ中年から上になると
 その人の能力が最も重視される。
 そういう能力はふだんから身につけておくべきものであって、会社を辞めてからあわててメッキをしても間に合わない。
 むしろ然るべき部署に配属されて仕事を覚えはじめた頃から
 『いまこの会社からおっぽり出されたら、
 自分は生きていけるだろうか』
 と常に自問して仕事にとりかかるべきだろう。
 もしそれだけの自信がなかったら、
 どうすれば専門知識を身につけることができるか、
 またそのためにはどれだけの勉強と修養をしなければならないか、
 常におこたらないことだろう。」
 (『まだやってんの』平成11年)
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