| 第239回「仕事を探すのなら仕事のあるところを求めて動くこと」
 失業状態に置かれた人たちに対する邱さんのアドバイスです。「仕事がなくなったあとを探しても獲物はつかめない。
 経験はなくとも、仕事があるところを捜し求めよ」
 というのが邱さんのアドバイスのポイントです。
 「時代の変化に対応できない企業は過剰人員を抱え込むだけの負担能力を失うので、
 その分を次の時代を背負う新興勢力や
 ニュー・ビジネスに頼るほかない。
 ではなにが次の新興勢力かというと、
 不況の中でも新しく人をやとう余裕をもった企業
 ということになる。
 つまり新しい仕事を探すなら、
 新規の求人をしているところを探して行けばよいのである。
 そんなことわかっているじゃないかと思うかも知れない。
 しかし、わかったようでも人は案外、
 その通りには行動しないものである。
 学校を出てはじめて職に就く人は、教えられた通りに仕事を覚えていくが、
 だんだん仕事になれてくると、
 そのうちにこれが自分の仕事であると思い込んでしまい、
 ほかの仕事を受けつけなくなってしまう。
 たとえば証券会社に勤めた人は辞めてもまた証券会社に勤めようとするし、
 銀行に勤めていた人はまた銀行に勤めようとする。
 自分が勤めていた会社が倒産したくらいだから、
 もしかしたら、その分野は斜陽産業かも知れないのに、
 そんなことはおかまいなしに、他に雇い手が現われたら、
 いくら斜陽化していても自分一人くらいは
 何とかもぐりこめるだろうと
 また同じ業種で働こうとするのである。
 私に言わせると、これくらい安易で間違った選択もないのではないか。
 構造的に失業が生じているのだから、
 その構造のなかで泳いでいたのでは、
 時代の動きからとり残されるだけである。
 失業から逃れようと思えば、
 失業の圏外からとび出す努力をする以外に方法はないが、
 そのためには仕事のあるところを求めて動くことである。」
 (『まだやってんの』平成11年)
 |