第238回
「失業は実力をためすよいチャンス」
失業は、サラリーマンにとって最大のピンチです。
失業になったら頭を抱え、自らの受難を嘆きます。
周囲の人も失業者には同情心を送ります。
が、邱さんのアドバイスは一味違います。
邱さんは逆境をバネにして生きてきた人です。
不利な条件をチャンスに変えて生きてきた人です。
だから、邱さんは失業者とかその可能性のある人たちに対して
世界にはもっと恵まれない人がいることを思うとともに
「失業は自分の実力を示すチャンスととらえよう」
と呼びかけます。
「日本的経営はみんなで仲良く
分け前にあずかるシステムであり、
それはそれなりに経済成長時代には効果を発揮してきたが
これからは実力主義が主流を占めるようになるから、
実績をあげることのできない者は収入も少なくなるし、
職にとどまっておることすら困難になる」
「失業して転職する度に待遇が悪くなれば、
平均賃金も下がるし、同じ会社に就職し続けている人でも
昇給どころか、賃下げにならなればよし
としなければならない時がくる。
こういうことは戦後からこの方、
なかったことであるから、
サラリーマンにとっても、受難の時代になってきた。
しかし、人間は悪い環境でも
すぐに順応する柔軟性を持っているから、
いつまでもくよくよしたり、
愚痴をこぼしたりすることはない。
広い世界には失業保険はおろか
健康保険も傷害保険もない地域はたくさんある。
メシにありつけなくなったら
餓死する以外に方法のないところもたくさんある。
そういう地域に比べれば日本のサラリーマンなどは
温室の屋根が台風で吹きとばされて寒空の下で
実力で勝負をせよといわれているだけのことだから、
むしろ実力をためすいいチャンスと思って居直ればよい」
(『まだやってんの』平成11年)
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