| 第225回「自分が死んだときのことを考えると新しい知恵がわく」
 邱さんが59歳になったときに発表した作品に『死に方辞め方別れ方』という本があります。
 この作品で邱さんはある時、
 インタビューに来たジャーナリストに
 「家で子供たちと食卓を囲んだ時、
 一番多い話が、『親が死ぬ話』と『倒産する話』です」
 と話したところ、
 「ずいぶん暗い話題ですね」とビックリされ、
 自分としては「たいへんメリハリのある、
 楽しい話題だと思っている」と書いています。
 また65歳のときに発表した『死ぬまで現役』では、自分が死んだ場合の相続税の計算を
 公認会計士さんにお願いしています。
 「私は病気に対して『予防医学』があるように、
 税金に対しても『予防税金学』というものがあって
 よいはずだと思っている。
 そこで、『もし自分が死んだら、
 相続税はどのくらいになるのか、試算してみてください』
 と仲間の公認会計士に依頼したことがあった。
 『たいていの人は、そこまではやらないわね』
 と娘からもからかわれてしまったが、
 私が思い切ってそういう試算をしてもらったのは、
 自分の財政状態のどこに問題があるかを知っておけば、
 次に新しい投資をしたり、財産を動かしたりする時に、
 これ以上欠点を助長しないですむし、
 やっているうちに税金対策も自然にできあがって行くと
 考えたからである。」(『死ぬまで現役』)
 こういう文章を読むと、ふだん「縁起でもない」と敬して遠ざけている話なども
 気分を変えて積極的に取り上げ、
 あれこれ考えをめぐらせると
 新しい知恵が湧いてくるのではないか
 という気持ちになってきます。
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