| 第203回「途中で投げ出すな、そのうち明かりが見えてくる」
 『楽天家でなければ生きられない』の第一章「楽天家に末世の思想はない」から、
 邱さんが楽観主義について解説している文章の引用を続けます。
 「オプティミズムとか、ペシミズムという言葉があるように、世の中には必ず楽観主義者がいるし、
 また悲観主義者がいる。
 悲観主義者は、いつも世の中はだんだん悪くなる、
 自分に不利なことが次から次へと起こってくる、
 あんまりでしゃばるな、少々いいことがあったからといって、
 手放しで喜ぶな、とすべてのことを
 悪いほう悪いほうへと解釈する。
 これに対して楽観主義者は、人生よいことばかりではないだろうが、
 悪いことがあっても
 そう悪いことばかり続くものではない。
 悪いことは人生の試練みたいなものであって、
 そのなかで苦しみながら考え、
 実行に移した対策がやがて事態をよい方向に導く。
 だから決して途中で投げ出すな、
 一生懸命やればそのうちに明かりが見えてくる、
 とどんな苦境にあっても考える。
 右のうちどちらがあなたにお似合いかは、あなたの性格やおかれた環境や
 これまでの体験と深いかかわりがある。
 生まれつき陽気な人もあれば、陰気な人もある。
 外交的な人もあれば、内向的な人もある。
 人と協調できるひともあれば、周囲から孤立する人もある。
 また銀の匙をくわえてこの世に生まれ、何不自由しない家庭に育ち、
 ちゃんとした学校教育も受けて、
 社会へ出てからも出世街道を
 トントン拍子にのぼりつめていく、
 恵まれた人もあれば、
 赤貧洗うがごとき小作人や
 その日暮らしの労働者の家に生まれ、
 三度の食事にも事欠き、
 学校もまともに行かせてもらえずに社会に放り出され、
 一生うだつのあがらないままに終わってしまう人もある。」
 (『楽天家でなければ生きられない』平成9年)
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