| 第192回自動車ブーム到来の予測は邱さんの想像力の所産
 邱さんから先を読む上で想像力を働かせることが大事だと教えてもらいました。
 邱さんはこれまで、折々の時点で、その先を読み
 読んだことを確かめるため行動してきています。
 そんな邱さん体験のなかで「想像力を働かせる」ということがピーンとくる事例って、ほかにどんなことがあるかなあと
 考えると、昭和34年頃、やがて自動車ブームが到来すると予想し
 その連鎖で道路建設が盛んになると考えを発展させ
 橋梁株やトンネル株を買った話が浮かんできました。
 邱さんは株に関心を持った頃、中央公論社の紹介で科学技術に詳しい吉村昌光さんという人に会い
 技術の動向についていろいろきいています。
 参考になる話をきくことができた半面、
 日本の自動車の将来についての見通しでは
 意見を異にしたとのことです。
 『金儲け・発想の原点』のなかで「技術革新が産業界の地図を変える」と題した章に
 書かれている吉村さんと邱さんの談話を転載しましよう。
 「『日本の自動車はダメだと思います。』と吉村さんは即座に首を横にふった。
 『どうしてですか』と私はききかえした。
 『第一に日米間では技術の差がありすぎる。
 第二に、日本では量産のメリットが期待できない。
 第三に、道路事情が悪すぎて、自動車が走れない。
 アメリカは一年に800万台も自動車を生産しているんですよ。
 それに比べて日本の乗用車はたったの5万台。
 バス、トラック全部あわせても、18万5千台ですよ
 今の日本の生産数と比べると、隔世の感がある。
 嘘のような話だが、昭和32、3年の日本の乗用車の生産台数は
 そんなものだった。技術畑の吉村さんが悲観的な見方をしても
 無理からぬことであった。」(『金儲け・発想の原点』)
 しかし邱さんはこうした吉村さんの見方には同調しませんでした。邱さんは吉村さんにあう前に、晴海の自動車ショーにでかけ
 自動車ショーを見るために押しかけた人の多さにビックリし、
 またショーの場内で異常な熱気を感じていました。
 「金があるようになったら自動車を買おう
 などといった生易しいものではないぞ。
 お金がなくても、何が何でも自動車は買うんだ、
 というのが今の日本人の若い人たちだ」(同上)
 と邱さんは観察し、また想像をふくらませたのです。
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