Qさんは、かつて「知恵は借り物でも知恵である」と書きました
そういうことをおっしゃる人の知恵ならいくら借りてもモンクは出ませんね

第190回
「先読みには想像力を逞しくすることが不可欠です」

邱さんは先を読むために必要な要件として
世の中の動きに好奇心を働かせるとか、
いつも問題意識をもって世の動きを観察するとか
変化の継ぎ目、分かれ目に気をつけると合わせて
「想像力を逞しくすること」を挙げています。

以下に前回引用した文章の続きを転載しますが、
中国が改革開放政策の一環として若者を
海外に留学させる措置をとったことに対して、
邱さんが“想像力”を働かせて
その後の中国で起こるであろうと考えたことを伝える文章で
「想像力を逞しくして先を読む」格好の事例だと思います。

「しかし、彼らが見落していたことが一つだけある。
そういう一歩を踏み出したことによって、
国民の権力を握っていた老幹部たちが洗脳を迫られるか、
でなれば、自分たちが権力の座から退くことを
迫られるようになるだろうということである。
私は小平たちが若者たちを一年に1万人以上も
海外に留学させるようになった時、
『これで中国の運命は決まった』と思った。
というのは、若者たちを海外にだせば、
『国がどうあらねばならないか』と百の説教をするよりも、
若者たちが自分たちの目で世界を見てまわり、
自然に批判の精神を身につけて帰ってくる。
やがてそれが全国の若者たちやその家族たちに浸透していく。

その上、外国人の旅行者が中へと入ってくる。企業が進出する。
外国企業だけならまだ外国人と一線を引くことができるが、
香港人、台湾人がお金と技術を持って入ってくるとなると
現体制のままでよいと考えるひとはますますいなくなる。

国の権力を握っている人々がそうした民心の変化に
対応していけば少しの不安もないのだが、
いまの権力の中枢にいるのは
いずれも軍閥時代の生き残りだから、頭脳も硬直しているが、
体制も硬直している。
かくして民主化を要求する者を暴徒ときめつけ
(注:天安門事件のこと:戸田)血の粛清を、
衛星放送を通じて全世界にみせつけてしまった。

これで民主化と開放政策が終ると思う人は少ないであろう。
それは、現体制の『終わりのはじまり』であり、
小平の先もそう長くないから、
政権争いがどういう展開を見せるかは予測が難しいが、
方向はきまったといってよい。
青年たちを外国に留学させたことを境目として、
軍閥的独裁は、痛ましい犠牲を道連れにしながら、
終わりにむかって走り出したのである。
現に人権を無視した権力者たちも、
開放政策は不変だと言っているし、
彼らの手で失墜した信用を取り戻そうとすれば、
経済に重点をおいた政策をとらざるを得なくなる。

これらの老人たちが1997年までには、歯が抜けていくように、
一人一人、死ぬか、耄碌して舞台から消えていく。
しかし、ソ連を見てもわかるように、共産主義が
資本主義に転換していくのではなく、
限りなく資本主義に近い体制をとることにより、
独自の社会主義を展開していくことになるはずである。
そうでなければ、体制そのものが維持していけないし、
彼らのプライドもそれを許さないであろう。」
(「問題意識を持って変化の先を読む」。
『金儲け発想の原点』《平成2年》に収録。)


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2003年3月5日(水)

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