第185回
「先を読むのは夜道を一人で歩くようなもの」
邱さんの本を愛読している読者が、
感じていることの一つは
どうして、邱さんは先を読むのがうまいのか、
自分もそんな風にできたらいいのになあ
ということではないでしょうか。
先日もそうした質問を邱さんに投げかけている人が
おられましたが、邱さんがこれまで書いてきた文章には
そうした読者の関心に応えようとした作品があります。
その一つが『金儲け発想の原点』で、その中にはズバリ
「問題意識を持って変化の先を読む」
という題の文章があります。
これから順次、この文章を読み、
「先を読む」ということについて勉強しましょう。
「何事をやるにもタイミングというものがある。
天地、地利、人和、といって
孟子は人の和が一番大切だと説いているが、
もちろん三つともことを成功に導く重大な条件である。
簡単な話、株式投資でお金の儲かる人も、損をする人も、
違う株を買っているわけではない。
皆、同じ株を買っているが、
ただ買うタイミングと、買う値段が違うだけのことである。
株で儲かる人は、この株が上がりそうだと
皆がきづく前に株を買う。
皆の意見が一致する頃は、大体、天井に近いから、
間もなく天井を打って反落してしまう。
それならば、誰もきづかない時に
買えばいいと思うかも知れないが、これがなかなか難しい。
右を向いても左を向いて、誰もついて来ない時に、
提灯ともして一人で夜道を歩くようなものだから、
心細い限りである。
今度はこうなると確信していても、
せめて一人か、二人、同調者がおればいいのだが、
それもないとなると、かなりの覚悟と勇気が必要になる」
(「問題意識を持って変化の先を読む」
『金儲け発想の原点』《平成2年》に収録》)
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