第168回
仕事をみつけ出す角度を忘れるまい
どうしたら魚のいるところがわかるのか、
それを推理するにはどうしたらいいのかということについて
すぐに浮かんでくる邱さんの文章があります。
年をとっても「仕事をみつけ出す角度を忘れるな」
というタイトルのエッセイです。
「わたしがいつも言うことだが、
川の流れだってずっと同じところを
流れているわけではない。
流れがかわって魚はすぐに居場所を変える。
だからいつまでも同じところで釣竿を垂れて、
魚が食いついてくれると期待するほうがどうかしている。
そういう時は魚の動く方向に自分も動く必要がある。
お金もまったく同じである。
お金もしょっちゅう流れを変える。
今度のような不景気があると地価も株価も下がる。
売れていた商品も売れなくなる。
しばらく辛抱しているかと、景気が戻ることは違いないが、
まったく同じ戻り方をするわけでない。
そこは大きな曲がり角だから、
そのたびにお金の流れが変わる。
したがって自分も動かなければならない。
この次、お金はどこを通るか、
先回りをしてその通り道にザルを置いておけば、
いくらでもザクザクと入ってくる。
そういった世の変化を見る目と
それに応じて動く習慣を身につけておけば、
仕事はいくらでもあるし、
年をとっているヒマなんてないのである。
つまり仕事を見つけ出す角度を忘れないことである。
これさえできれば、いくつになっても、
仕事からあぶれることはない。
古いスキマを埋めつくさないうちに
新しいスキマが目について、
次々と新しい仕事に兆戦する気を起こすようになる。
私自身いつもそういう姿勢を崩さないようにしているので、
仕事はこなしきれないくらいむこうから飛び込んでくる」
(「仕事を迎え入れる姿勢を崩すな」。
『私は77歳で死にたい』に収録)
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