Qさんは、かつて「知恵は借り物でも知恵である」と書きました
そういうことをおっしゃる人の知恵ならいくら借りてもモンクは出ませんね

第165回
自分の思い違いを認めることは本当に辛い

私が印刷会社の経営者に差し上げた
『朝は夜よりも賢い』をいま手にとって見ると、
ダメになった仕事から
去るタイミングについての記述があります。

「仕事はどこであきらめればよいのだろうか。
人間には誰でも『コケの一念』というものがあり
またそれを尊しとする気風があるから
『頑張れるだけ頑張ってみよう』と自分に言い聞かせてみる。
何十年も同じ事業になってきたという習慣的なものもあり、
この年齢になって慣れない事業に移る不安もかくしきれない。
だから『コケの一念』がうまい言い訳になる面も
ないとはいえないのである。

私の場合は、たまたま一つの仕事をある程度成功させると
それを大勢させるよりももう一度、
新しい仕事を手がけようというやり方に慣れてきたので、
職業を変えることに何の抵抗もないし、
ほとんど不安も感じない。
株をやる人の金言に『見切り千両』というのがあるが、
駄目と思ったことは見切ることが大切だし、
それを仕損なうことによって深い傷を負うことに
むしろ不安を感じる。
どうしてかというと、万一、不渡りを出して倒産をしたら、
友達にも見離されるし、少なくとも2年間くらいは
後ろ向きの対策におわれて、
新しい仕事には一切手がつけられなくなるからである。
そういう目にあわされるくらいなら
黄信号になったところで目を光らせ、
どうせ行きつく先がわかっているならこの際、
出血はこのへんで止めようと
潔い解決を選ぶかべきだと思うのである。

損を覚悟で仕事を中断することは、
新しい仕事をはじめるために家を担保に入れるよりも、
勇気の要ることである。
私は何回も何回もそれをやってきたので、
今では慣れてあまり気にならなくなった。
ちょうど離婚なれした男が、
『じゃ、さようならをしよう。慰謝料はいくらにしようか』
というようなもので、
いささかすれっからしの趣がないではないが、
それでも店をしまうときは、やはり同じように胸が痛む。

自分がこれと思ってはじめた仕事は可愛いし、
自分の思い違いを認めることは本当に辛いことである。
しかし、いずれ直面しなければならない現実であれば、
それと気づいた瞬間に早速にも取りかかるのが正しいと思う。」
(『朝は夜よりも賢い』)


←前回記事へ

2003年2月8日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ