| 第125回お世話になった先輩に礼儀を尽さなければなりません
 本になる前に私の文章を読んでくださった編集長の岡本さんは感想の一つとして
 「戸田さんは、よき上司に恵まれていただいたんですね」
 とおっしゃいました。
 そういわれて、私が勤めていた会社の当時の上司たちの顔が
 すぐに浮かびました。
 考えてみれば多くの先輩たちに導いてきてもらって
 今に至っていますので「よき上司」たちにできた本を贈りました。
 そうしたら、贈った先の諸先輩から、電話で、あるいは手紙で、
 またメールで激励の言葉を投げかけてくれました。
 最初に電話をくださったのが私が35、6歳の頃、日経連の会合に連れていってくれた先輩です。
 日経連の委員会に連れていってもらい、
 その委員会のレポートをまとめ、
 「会社員も会社に負ぶさるばかりではなく、
 自助努力を発揮する必要がある」と書いたことが
 私の心にその後の人生に対する問題意識を芽生えさせ
 邱さんの本を読み出すことにつながっています。
 「本、読んだぞ。元気にやっているようだなあ」「ご無沙汰して申し訳ございません。不躾に本だけ贈りまして」
 「日経連の話からはじまっていたなあ」
 「はい、あのときはお世話になりました」
 「なんか、邱永漢さんと親しい関係にあるようだなあ」
 「いやそれほどでもないんですけど」
 「序文まで書いてもらっているじゃないか」
 「邱さんの読者は多いでしょうが、
 本を読んでそれを活かした体験を書いたファンは
 そう多くはないでしょうから、
 多少、お目に留まっているかもしれません」
 「一度顔を見せにこいよ」
 「はい、ありがとうございます」
 といって、電話を置きました。
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