Qさんは、かつて「知恵は借り物でも知恵である」と書きました
そういうことをおっしゃる人の知恵ならいくら借りてもモンクは出ませんね

第123回
作者が出し惜しみしていると、読者に見破られるようですね

私が邱さんのエッセンス本を担当し、
邱さんの作品を解説する文章を書くようになったとき、
文章のできばえをよく妻に見てもらいました。
その際、妻から何度か「出し惜しみをしている」と言われ
書き直したことがあります。

そういえば証券会社の重役から経済評論家に転じた
高島陽さん(故人)が本を書くことになったとき、
邱さんは高島さんに
「頭の中にあることを全部書かなければいけません。
これは別のところで書こうなどと思ってはいけないですよ」
という趣旨のことをアドバイスしたと、
どこかで読んだことがあります。

私がこの話を、友人に話すと、友人は
「書く人が出し惜しみしていると、
そのことが読者にわかるんですよ」
と笑いながら読者の見方を語ってくれました。
だから本を書く人間は、もうこれ以上は出ませんという
ところまで書かなければいけないのだと思うようになりました。

それと、心がけたのは、できるだけ平易な言葉で書く
ということでしょうか。
邱さんの文章は、読みやすいですね。
読みやすい一つの要因は邱さんはある時期から
人に話すような語り口調で文章を書いています。
「邱さんがこう書いている」というより、
「邱さんがこう言っている、あるいは話している」と
いったほうがぴったりくるように思うことがしばしばです。

邱さんが「もしもしQさん、Qさんよ」を
書かれるようになってから、
人に向かって話すように書くという邱さんの特長に
一層の磨きがかかってきたように思います。
あるとき、外に出かける妻から
「電車の中で読む本、なにかないですか」と聞かれたので、
私は『もしもしQさん、Qさんよ』を渡しました。
妻も私の影響で邱永漢さんの本はかなり読んでいますが、
帰宅して話をすると、この本が今まで読んだ邱さんの本のなかで
一番読みやすかったというのです。
私もこの邱さんの語り口調のスタイルを
おおいに参考にさせていただきました。


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2002年12月28日(土)

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