第120回
邱さん曰く「多くの人々の関心事と接点を持つ問題意識が大切」
私の処女作を本にする前に
読んでいただいた友人や出版社の方から一様に
「面白かった」という言葉をいただきました。
もちろん激励の意味も入ってのことでしょうが、
出版社の人たちはこれを本にするか、すまいかと
考えながら読まれているわけですから、
あながちお世辞ばかりではあるまいと思いました。
また書いた文章が本になり、それを実際に読んだ人からも
「面白かった」という感想をいただきました。
思えば、私が邱さんの文章を読みつづけているうちに
接した邱さんの知恵が少し効いたのかもしれません。
すぐにも思い当たるのは、『金銭通は人間通』(PHP研究所)
という本で、邱さんが
「多くの人の関心事と広い接点を持つ問題意識が大切だ」
と力説していることです。
邱さんは、何事も問題意識をもつことが先決とことわったうえで、
「大切なことは、その問題意識は、
仕事をやっていく上で役に立つものかどうか、
また多くの人々の関心事と
かなり広い接点を持っているかどうかであろう。
自分のひとりよがりで終わってしまうような問題意識では、
学者としても、商売人としても成功しないであろう」
と書いています。
世の中の人々が関心を持つテーマは数多くあるでしょうが、
私が取り上げた定年の問題は
多くの人々が関心を持っているテーマの一つだと思いました。
組織社会の中で生きてきた人にとっては、
「定年」の問題はどこかの時点で考えざるを得ないことで、
寿命が益々長くなり、経済や雇用の環境が変わっていますから、
このテーマはこれからのサラリーマンが今後
ますます関心を深めていく性格のものだと思ったのです。
書いた文章が本になって売りだされると、
30代半ばの青年から「自分のこれからの先の姿を
見るような思いがした」というメールをいただき、
また私と同年代の人からは「身につまされましたよ」
という感想をいただましたから、
私のテーマ選びはそう間違っていなかったと思いました。
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