第114回
本のネーミングに知恵を絞るのも作者の大事な仕事
一度手にとって読んでもらえば、
面白いと思ってもらえる本であっても
実際に手にとってもらわなければ始まりません。
私は邱さんから本の名前を決めるまでの体験談を聞き、
本のタイトルをどうするかが一大事であることを
教えていただきました。
家に帰って、妻に
「本を買うとき、どうやって選んでいる?」
と聞いたら、即座に
「本屋さんの棚に並んでいるたくさんの本の中から、
タイトルを見て、関心にふれる本を手にとり、
“目次”とか“まえがき”“あとがき”を見て
買うかどうか決めますよ」
という返事がかえってきました。
原稿段階で私の作品を読んでくれた友人に
同じ質問をしましても、同様の答が返ってきました。
となれば、原稿を書いたからもういいよ
というわけにはいきません。
本を手にとって読んでもらえるように
どんなタイトルをつけるか、
一人でブレーン・ストーミングをやってみました。
私は「定年」のハードルをどう乗り越えるか
という観点から自分がやってきたことを書きましたが、
考えれば私はその8年ほど前の50歳のときに
会社を辞めてしまっていて、いま関心は
この先の人生をどう切り開いていくかに移っています。
それに私の書いた文章に一貫しているのは、
一人の作家の文章を読みつづけ、
教えられたことを参考にして
自分の人生を開拓してきたということでしょう。
そして私はこれからも借りようとしています。
こうした点に着目したら
「師匠に選ぶならやっぱり第一級の賢者」
「賢者とつきあえばあなたも幸せになる」
「知恵を借りたらあなたも賢者」
「借りた知恵は惜しまず使おう」
といったタイトルが浮かんできます。
私は妻や娘にどれがいいか印象をきき、
それぞれの意見を付記して
本のタイトル案を出版社に送りました。
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