| 第102回アジアの時代を自分の生活の中に組み入れよう
 邱さんが良く読まれる作家である根本の一つは邱さんが価値のある情報を提供している作家だからでしょう。
 「価値ある情報とは、お金儲けにつながる情報か、
 でなければ、お金の節約につながる情報である。
 あともう一つ考えられるのは、
 『それ以外の役に立つ情報』である。
 『お金に直接つながりはない』が『役に立つ情報』とは
 『趣味や嗜好とか、旅行や教養とか、個人差が大きいが、
 いずれも生活を豊かにするための情報のことである』」
 (『籠いっぱいの価値ある情報』、PHP研究所)と
 邱さんは書いています。
 私たちが求めてやまない情報は考えてみれば、確かに「お金儲けにつながる情報」か
 「お金の節約につながる情報」か
 「趣味や嗜好とか、旅行や教養とか、
 個人差が大きいが、いずれも生活を豊かにするための情報」
 (同上)です。
 私は邱さんの自信に満ちた言葉に、価値ある情報の提供に全力を注いできた人の力づよさを感じました。
 そして一冊の邱さんのエッセンス本を世に出す作業に
 かかわらせてもらってから、
 私は編集という仕事に興味を持つようになり、
 私は当初の念願であった
 邱さんのアジア関連の作品のエッセンス本を
 まとめたい旨をグラフ社に申し出ました。
 この私の要望が出版社から邱さんに伝えられたのでしょうか、希望を叶えさせてやろうじゃないかと考えてくださったのか、
 グラフ社を訪れた邱さんとグラフ社の中尾是正社長との談話で、
 「昔、『敵中横断三千里』というのがあったね。
 あれを書いた山中峰太郎さんの作品に
 『亜細亜の曙』というのがあったね。
 タイトルはそれにちなんで
 「アジアの曙」がいいんじゃないかな」
 本のタイトルが決まりましたよと、
 西澤さんから教えてもらいました。
 私は、終戦の2年前の昭和18年生まれで山中峯太郎さんの名前とか、『敵中横断三千里』という名前を、
 わずかに知るだけのものですが、
 それはともかく、私は香港や中国の将来を展望する邱さんの作品を
 再編集させていただくことにワクワクする気持を抑え切れず、
 「これからは中国の香港化がすすむのだ」という
 邱さんの予言を中心に、編集をすすめました。
 この本を編集してから7、8年たちますが、この本でとりあげた邱さんの見方、考え方が
 いかに的確なものであったかをいま私は深く実感しています。
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