| 第98回邱さんは超スピード人間です
 「私のニュービジネスづくりを触発した邱永漢の言葉」というタイトルをつけて
 私は一回あたり400字詰めの原稿5枚に
 文字通り私を刺激してくれた邱さんの言葉と
 私の体験を添えて書き、石原さんの事務所に送りました。
 中国ツアーの翌月の平成5年6月に入ってから、石原さんは「ビジネス必勝に導く邱永漢語録」と改題して、
 私の原稿を掲載しはじめました。
 最初は1、2回書いてもらい、あとは様子を見てから
 判断しましょうとのことでしたが、2、3回書くと
 面白いのでしばらく書き続けて下さいと言われました。
 こうして、私の“邱永漢語録”は、結構面白く、楽しいといわれましたので、私は石原さんに
 「前から邱永漢語録のような本を書いてみたいと
 思っているのですが、何か方法はないでしょうか」と
 ききました。
 石原さんは早速、邱さんに掛け合ってくださったようで、
 間もなく「グラフ社の人と面談することになりましたよ」と
 石原さんから伝えられました。
 後で出版社の人から教えていただいたことですが、邱さんが私の希望を聞き届けてくださり、
 私が書いた原稿が掲載された
 石原さんのところの情報誌を持ってグラフ社を訪れ、
 「私のエッセンス本の編集はこういう人に
 やってもらったらいいんじゃないですか」と
 話してくださったというのです。
 それにしても私が石原さんに自分の念願を伝えてから、編集、出版の話に入るまでの速さといったらありません。
 大きな組織では、新しいことを始めるとなったら、
 事前に関係事項を調べ、
 やるべきかどうかの詮議に結構な時間をかけます。
 そういう風土の中で仕事をすることに慣れてきた私にとっては
 驚異的な出来事でした。
 邱さんは『生き方の原則』(光文社)という本の中で書いています。「世の中には『石橋を叩いても渡らない』という人がありますが、
 私などは石橋は叩かないうちに渡ってしまいます。
 あとから来た人が後生大事に叩いているのも見たら
 思わず笑い出してしまいます。
 目にみえる石橋が突然、
 音を立てて崩れ落ちることは滅多にないものです。
 心配しているヒマがあったら渡ってしまうほうが早いのです」
 邱さんの決断と行動の速さには本当にビックリしました。 |