| 第96回チャンスは思わぬところから開けてくるものです
 私は邱さんの本を読み、読むだけでなく、これは自分でも活用できると思ったことは実際に試し、
 また友人たちにも邱さんの作品を読むことをすすめてきました。
 しかし、ただ素朴に「邱さんてどういう人ですか」ときかれたときぱっと答えられるという自信はありませんでした。
 邱さんの作品はレパートリーが広いし、
 扱う執筆の対象も範囲が広いのですが
 私が読んでいる対象はどちらかというと利殖とか経済面に偏り、
 邱さんが提言する独立自営の生き方はできていないし、
 また邱さんが昔書いていた小説などの作品も
 ほんの一部しか読んでいなかったからです。
 そこであらためて邱さんの作品目録をまとめまた読んでいない作品を集め、
 また読みが浅いと思っていた作品を再読し、
 邱さんについて自分なりのイメージを
 しっかりつくりあげたいと思いました。
 そこで、私は、自分の本棚に並んでいる邱さん本を整理しながら、(1)邱さんはこれまでどういう本を書いてきたのか、
 (2)これまでどういう行動をとってきたのか
 (3)また、読者に向ってどういうことを発言してきたのか
 (4)論者たちは邱さんをどういう評価をしているか
 といったことを整理しはじめました。
 その昔、大学のゼミの指導教授から卒業論文を書くように言われ勉強したことがあります。
 あのときは自分の心の底から面白いとおもって
 勉強したわけではありませんが、
 今度は一番興味が惹かれるテーマについて勉強するわけで、
 こんな楽しいことはありません。
  そんな勉強をはじめたばかりの頃、新聞の広告で邱さんが登場する講演会のことを知り、出席しました。
 すると、会場の入り口でパンフレットを配っている人がいました。
 何だろうと思ってみたら、パンフレットには
 「邱永漢責任編集・日本事業通信網」と書かれていました。
 私は邱さんに関係していることをなさっている人には
 親しみを感じる性分です。
 この方は現在は邱さんとは関係のない立場で情報誌を
 発行されている石原勉さんでした。
 私は石原さんがはじめられた仕事に興味を覚えましたので、
 後日、石原さんの事務所を訪ねることにしました。
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