| 第92回後半の人生では過去の体験が役に立ちます
 私は研修の仕事を専門にしていたわけではありません。また研修の講師になりたいと思っていたわけでもありません。
 しかし私のようにどちらかといえば
 頭で勝負しようとするタイプの人間には
 研修の講師は向いているところがあり、
 その仕事を深めていけば自分のやりたいと思っていた
 コンサルティングの仕事も開拓できるのではと考えました。
 さて私が従事することになった研修は「問題解決」とか「意思決定」とか「リスク管理」の分野をあつかっています。
 「問題解決」というのは「すでに起こっている問題の原因を明らかにして対策を考える」ということです。
 この領域で私は、赤字状態が長く続いた部署で
 再建策を立てるということを体験しています。
 私には荷の重かったテーマですが、辣腕上司のおかげで
 赤字を黒字に切り替える要領を勉強させてもらいました。
 「意思決定」というのは「一つの課題に対して複数の案を考えその中から最適の案と思われる方策を選び出す」という領域です。
 この領域では、遊んでいる土地だらけの製鐵所で新規の事業を
 企画するという仕事でいろいろ体験しました。
 出だしのところで失敗し、
 その失敗に教えられてチャンスをつかんだということが、
 その後の私にとっては貴重なソフト財産です。
 また将来の不安にどう対処していくかという「リスク管理」は新規の事業を考える場合にうんと悩んだことですし、
 35、6歳頃から自分が考え行動してきたことは
 すべてその先の不安との戦いであったようにも思います。
 もちろん実地の体験がなければ、研修の講師になれないというわけではありませんが、体験はないよりあったほうが
 ちょっとした話にも説得性が出てきます。
 邱さんはあるところで「第二の人生は自分が体験した周辺ではじまる」
 「昔とった杵柄が役に立つ」と書いています。
 自分が体験したことと、
 いまやっていることを照らしあわせると
 私の場合も、自分が体験したことの延長線上で
 第二の人生を送っているのかなと思います。
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