Qさんは、かつて「知恵は借り物でも知恵である」と書きました
そういうことをおっしゃる人の知恵ならいくら借りてもモンクは出ませんね

第74回
「邱さんが薦めている香港投資は危ないですよ!」

今から10年ほど前のことです。
実現することが難しいと思っていた課題が
解決する見通しがついてきました。
自分が背中に負っている荷物はかなり重いと
思っていたものですから、
それが外れるかもしれないと思うと
心にユトリが出てきました。
すると急に、外の世界をのぞいてみたくなり、
たまたま週刊誌をのぞくと
海外投資セミナーの広告が出ていましたので、
私は妻をつれてそのセミナーに出席しました。

セミナーの主宰者は商社につとめたあと
海外不動産投資の斡旋に乗り出している人でした。
参加者の前に立って、海の向こうの投資先として
シドニーなどオーストラリアの都市や
シンガポールなど東南アジアへの都市や
バヌアツなどタックス・ヘブンを薦めました。
そうした説明をしたあとで、
「いま、邱永漢さんが香港のマンションへの投資を
すすめていますが、あれは危ないから
やめておくのがいいですね」
とつけくわえました。

「ナニ。邱さんがリスキーな話を人にすすめているだと。
世の中にはイロイロなことをいう人がいて
中には人を窮地に陥れるようなことを
平気で話す人もいるようだけど、私の知る限り邱さんは
そんなことをする人ではない」と私は反発しました。

それまで邱さんとじかに話をしたことはありませんが、
私にとって邱さんは格別の存在です。
後半期に備え経済設計の方法を教えてもらっているし
新規の仕事を考えるさいに大事なヒントをもらっています。
そういう人があまりよくない人のように紹介されることを
私は許しておくわけにいかないと思いました。

たしかに、その2年前に共産中国で天安門事件が起っています。
あの事件は私の目から見ても野蛮な行為でした。
その共産中国に香港が返還されることになっていて、
香港の人たちが外国に飛び出す光景が
連日、新聞やテレビで報道されています。
セミナーの主が「香港投資は危ない」というのも
わからないことではありません。
しかし邱さんには邱さんの独自の見方があるのだろうと考え
私はセミナーが終わった直後、主宰者のところにかけより、
「邱さんはチャンスがなくて、リスクばっかり
というような話をする人ではないですよ」
と文句を言いました。
するとセミナーの主は少しあわてた風で
「いやあ、シロウトの人向けにああ言ったのですよ」
と私をクロウト扱いするような返答をしました。

文句を言ってスッとしたかと言えばそんなことはありません。
実は私は邱さんが香港の不動産をすすめているということを
マッタク知らなかったのです。


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2002年11月9日(土)

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