| 第66回子供にまとまったお金を与えてみました
 私たちのところではもう子供も大きくなりましたが
 『子育てはお金の教育から』に書かれていたアドバイス
 を実践たことが二つばかり思い出されます。
 いずれも長男を対象にしたものですが一つは「お金の使い方にヒモをつけるな」、
 「まとまったお金をポンとわたして自由裁量に任せよう」と
 いうアドバイスの活用です。
 この本が出版されたとき我が家の長男は14歳になっていました。雑誌あたりから情報を得てくるのか、秋葉原筋の電気製品などを
 買いたがるようになっていました。
 この筋の商品については、幸か不幸か親の方に選別の能力がありません。
 仮に選別の能力があっても、親がいちいち
 「あれはいい、これはダメ」などと口を出したのでは、
 子供が創意工夫を凝らす芽を摘み取ってしまうというのが
 邱さんのアドバイスです。
 そこで私は長男に一定の金額を子供に示し、
 「この金額で、買いたいと思っているものがそろうかどうか
 リストアップしてみなさい」と言ったことがあります。
 いろいろ買いたいものがあったのでしょう、
 1円の余りを残すか残さないかのギリギリのラインで
 予算案を組んできたのにはビックリしました。
 もうひとつ私が邱さんのアドバイスを活用したのは学資の送金です私は先にも書いたように、長男の高校進学にあわせて家を建て、
 自宅から東京にある高校に通えるようにしました。
 いずれ大学も東京の大学に進学するだろうと思っていました。
 ところが人生はままならぬもので、
 予期に反して京都大学に進学することになりました。
 家から送金の必要が出てきたわけです。
 そこで頭に浮かんだのが学資を一括して送ってはという邱さんのアドバイスです。
 「地方から東京へ勉強に来させるのに、
 毎月、決まった金額をきちんと送金するよりは、
 6ヶ月分なり、1年分なり一ぺんにわたして、
 ためしてみるのもよい。
 毎月、もらうお金がきまっていると、
 人間はどうせ月が変わったら、
 またすぐお金がくるのだからといって、
 その月のお金はすっからかんに使ってしまう。
 ところが、うっかり使ってしまったあとで足りなくなったら
 大へんだという心配があると、かえって倹約をするようになるし、
 またうまくやりくりすれば、まとまった買物ができたり、
 旅行に行くことができたりすると思うと、
 そういう算段をするようになる。」
 邱さんはこの考えにもとづいて、アメリカに留学した次男の世源さんにまとまったお金を一括して送金したとのことです。
 私はすぐに応用する経済的な余裕はありませんでしたが長男が大学に進学したあとからボーナスを貯めて
 お金の流れをそこで一旦せきとめ、そこから一定額を
 長男に送り、足りない分は自分でなんとか工夫して
 生活するようにということにしました。
 私の送ったお金だけではやっていけなかったようで、
 長男は京都のローカル新聞に「家庭教師引き受けますと」
 と書いて、アルバイトの口を捜したようです。
 ちなみに、この長男はいまシリコンバレーにある医療機関で奨学金を基金にして研究生活を送っています。
 国内で働いて稼ぐのと比べたら、うんと厳しい環境で
 生活することになっていますが、大学時代に
 限られた範囲のもとで生活をする体験をしているので、
 そのときの知恵が異国の地で活かされているではないかと
 私は楽観しています。
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