第61回
いいアイデアが生まれたらすぐさま行動することですね
邱さんが書いた『成功の法則』の第一に
「始めるということが成功への手がかりであり、
やめないということが成功への足がかりである」
という言葉があります。
この言葉のあとに次のような解説が続きます。
「事業を成功するために一番大切なことは実行です。
よくアイデアが大切だ、
いや先見性が大事だという言う人があります。
またモトデがなければ動きがとれないのだから、
資本が第一だという人もあります。
確かにどれも大切で、そのうちのどれが欠けても困ります。
しかし、どんな素晴らしい考えを持っていても、
ただ考えただけで実行に移さない人は、
何の考えも持っていないのと同じです。
形にしてみせなければ、
誰もあなたがどんな素晴らしい考え方をもっているか
気づかれないだろうし、あなたがしゃべるばかりで、
一向に実行しない様子を見せたら、
『あいつは口先ばかりの奴だよ』
と軽くあしらわれ手しまいます。」
私はこの文章を読んで、強烈なパンチを
食らったような気持になりました。
「どんな素晴らしい考えを持っていても、
ただ考えただけで実行に移さない人は、
何の考えも持っていないのと同じです」と
言われて、わが身に思いをいたすと、
「考える」ことと「行動する」ことを区別し、
「考え」が的確であれば、「実行」しようがすまいが、
それはそれで素晴らしいことじゃないかと考えている
自分が浮かびあがってきました。
そしてそういう態度に「甘さ」が潜んでいることを
鋭く衝かれたように思いました。
以来、「考えることは極力実行するようにしなければ
考えたことにならないのだ」と考えるようになりました。
さて、会社の会長から大和ハウスの創業者の石橋信夫さん
への打診を示唆された私の上司は、直後に関連会社に
転出することになってしまいました。
そして転出に際し、私に「何としてでもホテルを実現しろ」と
いうメッセージを残して私の前から姿を消しました。
そこから先は自分が前面に出てやるほかありません。
私は一介の部長で、創業者の石橋さんの前に出られる
ような立場にはありません。
しかし、石橋さんを補佐している役員の人に会って、
お願いの趣旨を伝えることはできるだろうと考えました。
そこで当時、大阪の阿波座にあった大和ハウス本社を訪ね、
常務をされていた田中正二郎さんにお会いしました。
丁度、新日本製鉄の大阪支店長をしていた三宅さんが
大和ハウスに転出されることになっていて、
私の訪問に同行してくれました。
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