第58回
どんな商売でもお客の心をうまく読まないと繁盛しませんね。
短期間のうちにつくりあげられたテーマパークが
平成2年の4月にオープンすることになりました。
パークは宇宙をテーマにしたパークなので、
「スペースワールド」というのがその名前でした。
この「スペースワールド」のオープンには
大勢の記者がパーク内に詰めてくれ
何とかこのパークの出発を祝ってやろうという雰囲気でした。
当時、フジテレビのアナウンサーでいまフリーで活躍されている
長野智子さんがオープニングイベントの司会役として
奮闘していただきました。
ただ、生憎とこの日は雨で、そのせいかどうかはわかりませんが、
2万人程度に見込んでいた入場者は
実際には5千人足らずにとどまりました。
やっぱり思った通りには行かないなあと思っていたところに
5月の連休になると、どっとお客さんが詰めかけてくれました。
そういう事態までは想定していなかったものですから、
周辺の道路は停滞するは、またパークの中では
お客さんは前に進めず、パニック現象が起きました。
これが反省材料になり、幹部社員一同で
どうやったらそういうことが防げるかを討議しました。
その過程ではっきりしたことの一つは
お客さんの一人になったつもりになって、
このパークに入場し、パビリオンの中を歩き回った
幹部社員はほとんどいなかったのです。
このことは「お客様の立場に立って考える」ということは
意識的にやらないとできないものであることを教えています。
お客の心理を念頭に置くようにというのは
邱さんがしょっちゅう書いていることですね。
それにもまして参考になるのは邱さんの文章を書く姿勢です。
私など20数年にわたって邱さんの文章を
読みつづけている一人ですが、
邱さんに、私のような固定顧客がついているというのは
邱さんが顧客が知りたいと思っていることや知る必要のあることを
選んで筆を進めているからではないでしょうか。
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