第54回
邱さん曰く、「お金儲けとは儲けて感謝されることです」
本を読むと新しい知識を得ることができて楽しいものですが、
時間を経たあとで読むと以前には気づかなかった
新しい発見があるものですね。
私は新規事業の企画を体験をしたあとで、
邱さんが47歳のとき出版した『成功の法則』(昭和46年)
という本を再読しました。
この本の中には
「儲けて感謝される。ーお金儲けとは、多くの人から感謝されたり、
歓迎されたりする仕事のことであるー」
という言葉が書かれています。
私はこの言葉に接してハッとしました。
この本は何度か読んでいるのですが、
実地で事業の企画を体験したあとで読むと、
書かれた言葉により敏感になるのですかね。
私はお年寄り向けのマンション事業を企画したとき、
「あなたが今考えていることは人から感謝されることですよ」と
ある人から言われ、それが発奮材料になって
プランの具体化に突き進んで行きました。
そして入居者募集の広告を出したら、
入居を希望する人が殺到したと聞きました。
そのときも企画したことがうまく当たったかなという
程度には考えましたが、
「商売の本質は、他人に役に立つことをして感謝されることだ」と
自覚するには至っていませんでした。
事業を企画する場合私たちはいろんなことを考えます。
まず自分が属している組織の利益を追求します。
またライバル関係にたつ人達の動きにも目をつけます
それらにも増して重要なのはお客の立場から見て魅力が
あるかどうかの検討でしょう。
ところが肝心要の
「お客さんの立場から見てから魅力があるのか」の検討が
往々にして欠落してしまうことが多いですね。
「お金儲けとは、多くの人から感謝されたり、
歓迎されたりする仕事のことである」と言われて
ハッとしたのは「お客の立場」に立って考えることの
重要性を十分自覚していなかったからでしょうね。
ただ私が共鳴した「年をとったら賑やかな所に住もう」と
いう邱さんのメッセージはユーザーの立場からの発言ですね。
無意識のうちにも、私はこうした顧客の立場に立った発想に
乗っかっていましたから、このことが幸したのかもしれません。
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