| 第39回邱さんの友人、高島陽さんの「社長のメシの種」が役に立ちました
 私は北九州市の八幡製鐵所に赴任するとき、これからの仕事に参考になるかもしれないと思い、
 邱さんの本数冊とあわせて高島陽さんという人が書かれた
 『社長のメシの種』(日本経営合理化協会出版部 )
 という本を持参しました。
 社長でもない私がどうしてこういう本を持っていたかというと、高島陽さんは邱さんの年来の友人で、
 邱さんから高島陽さんはしょっちゅう新しいところを歩き周っている人と
 教えられ、高島さんが書かれた本も買うようにしていたからです。
 しかし、この『社長のメシの種』は1万5千円もする高価な本です。私はたまたま赴任する年の夏横浜でマンションを買ったあとに、
 伊勢崎町あたりの本屋に立ち寄り、この本を見つけました。
 箱入りで、しかも写真がふんだんにとり入れられています。
 私の頭には本は1千円程度のものという観念があったのでしょう。
 この本の定価を千五百円と誤解し、レジで千円札を2枚出しました。
 店員さんから「1万5千円です」と言われ、
 値段を一桁間違っていたことに気づきました。
 たまたまマンションを買った直後で気が大きくなっていたのと、レジの前で立ち止まって本を元の場所に戻すのもバツが悪いので、
 その場で1万円札を2枚出した、という思い出がある本なのです。
 まさか、その年の暮れに新規事業を企画することになるとは
 思っていませんでした。
 赴任が決まり今度の仕事にピッタリの本だと思い、新しい職場である八幡製鐵所の事業開発推進部に持ち込みました。
 すると、果たせるかな、この本はタチマチ人気者になり、
 上司に当たる人からも読ませてほしいといわれるし、
 同僚でいまはエフエム九州会社の社長として活躍している新川正直さんなども
 「戸田さん、ちょっと貸して頂戴」といって、自宅で精読したようでした。
 私は私で、この本に掲載されている事業から自分の目で見てみたい
 ところをピックアップし、赴任した年の暮、
 神奈川の自宅に帰宅する道中見て回りました。
 訪ねた先は倉敷の「アイビー・スクエアー」(ホテル)、伊丹の「ツカシン」(ショッピング・センター)、大阪守口の駅前にある「大阪ゆうゆうの里」、
 京都桂の「ホリデー・イン・京都」(シルバー・マンション)、
 東京ディズニー・ランドといったところでした。
 正月が明けて、製鐵所に出勤すると、海老坂さんという朝日新聞社の経済記者が私の所に来て、
 「どういう所を見てまわったのか言って欲しい」と言います。
 「自分の興味本位で見てまわっただけなのに、
 そんなことが記事になるとしたら大変だ」と思いました。
 総務部長に相談したら「ドンドン話してくれ」というので、ポツリポツリ
 しゃべったら、海老坂記者は全国版で私の行動を取り上げました。
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