第37回
経理と税法の勉強を兼ね、自分の会社をつくりました。
日本のサラリーマンには自分は税金を払っているという意識は
たいへん低いと思います。
給料から税金が自動的に天引されるいわゆる源泉徴収システム
が採用されているからです。
私なども、自分がいくら税金をとられているのかには無頓着でした。
前に書いたことですが、私は35,6歳の頃、
どれくらい貯金をふやせるかと思って、
自分の給料明細を手にとり、その仕組みを調べたことがあります。
そのとき、所得税の税率表にもとづいて税金の計算をし、
なるほど、こういう仕組で所得税が計算されているのだと知ったのです。
こうした「税金」について、邱さんが「ゼイキン報告」
(日本経済新聞社。41年)という本を書いています。
また、その実践編として「事業家資産家のための節税の実際」
(日本実業出版社。昭和44年)といった本も出版されています。
いずれも私が邱さんの愛読者になる前に出版されていた本ですが、
税金を身近なものとしたいという気持ちから読みました。
「ゼイキン報告」は日経新聞に連載されたもので、
連載に際し、新聞社からサラリーマンに役に立つことを書いてほしいと
言われたそうです。
しかし、調べれば調べるほど、日本の税法にはサラリーマンが工夫する
余地がないことがわかったと、邱さんは書いています。
そういうサラリーマンも大家になれば多少の工夫の余地ができてきます。
「事業家資産家のための節税の実際」(日本実業出版社)には
節税対策として「家族会社をつくろう」という提唱があります。
私は三つ目のワンルーム・マンションを購入したとき、
邱さんのこの提唱を活かしてみようと思って、家族会社をつくり、
不動産の所有者を家族会社にすることにしました。
家族会社を設立した目的は節税でしたが、
経理や税法の知識を吸収することもできると考えました。
よく、ビジネスマンも財務諸表を通読できる
知識や能力を身につけろとか言われます。
私もそういう方面の本を何冊か読んだことがありますが、
日ごろ実務をやらない人間がその方面の知識を身につけるのは
なかなか難しいと思い続けていました。
家族会社をつくれば、否応なく財務や税法方面の基礎知識を習得する
ことにもなるだろうと思ったわけです。
年に一度の税務申告の資料作りは妻の仕事です。
妻は数字を扱うのはすこぶる苦手で、
申告時期が近づくと頭が痛くなると言い続けていますが、
それでも何年かつづけている間に
経理や財務や税法の仕組の基本には精通するようになったようです。
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